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◆ 広報おきなわ(No353) 2003年11月号

特集・犯罪を未然に防ごう 市畜産共進会 沖縄市ドリームショップ選考会
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No.1
子どもたちの心理を知り少年事件を未然に防ごう
近ごろ、新聞やテレビなどで取り上げられる、最も深刻な問題の一つが、少年による重大犯罪です。ささいなきっかけから、まったく面識のない人に暴行を加え、死に至らしめるというケースが相次いでいます。

少年事件の背景には、さまざまな要因が複雑に絡み合っており、簡単に解決できる問題ではありません。しかし、子どもたちが抱える心の闇を周囲の人が察知できれば、犯罪の悲劇を未然に防ぎ、その未来を正しい方向に向かわせることもできるのです。


何の問題もなかったように見えた子どもが、突然、凶悪・粗暴な非行に走る―そんな事件が急増しています。「子どもたちの心が分からない」という、とまどいの声も聞かれますが、もっと子どもを見つめてください。子どもをちゃんと育てることは大人の責任・社会全体の役目です。今月号では青少年問題に直接関わる、各相談、補導状況等を市青少年センターの資料に基づき紹介するとともに、子どもを非行から守るためにはどうしたらいいのかを考えていきます。
傾向と対策
単独で犯罪を起こした少年には、一見「普通の少年」「よい子」とのイメージがありますが、事件の背景には、少年自身の資質や少年を取り巻く環境の問題が、長年にわたり蓄積されています。殺人などの重大な犯罪を起こした少年は、大まかに次の三つのタイプに分けられます。
TYPE1
自分はだめな人間だ
幼いころから問題行動を起こしていたタイプ

幼少期から問題行動などを繰り返し、さらにさまざまな原因が重なった結果、犯罪を起こしてしまったタイプです。
例えば、お菓子の盗み食いや家財の持ち出しなどの問題を起こした子どもに対して、親の側に適切に対応するだけの余裕がないと、激しい体罰や叱責となって子どもに当たります。

しかし体罰などでは、子どもの心に罪悪感や規範意識をはぐくむことができず、「見つからなければよい」と、子ども自身が問題行動をエスカレートさせる結果につながりかねません。それと同時に、いたずらに激しい叱責を受けたことで、「自分はだめな人間だ」というマイナスイメージを強めてしまい、そのイメージを植え付けた親に対する憎しみを募らせていく傾向があります。

▽その背景と対策
育児や生活上の不安などの問題を親が抱えていると、子どもの問題行動に適切に対応できず、こうしたタイプの少年をつくる原因となります。

親が強圧的・支配的な態度で子どもを押さえ込むような家庭では、「しつけ」と「虐待」のはき違えも起こりがちです。そのため、子どもは大人に近づくことに恐怖を感じ、自主的に人間関係を切り開いていくことができなくなってしまいます。

子どもと接するときは、体罰などで押さえつけるのではなく、きちんと向き合って話し合いましょう。「怒る」ことと「叱る」ことの違いを、親の側が再認識することが大切です。
TYPE2
一見優等生
表面上は問題を感じさせることのなかったタイプ

普段はおとなしく、周囲の環境や人間関係にも順応していたように見えたのに、突然犯罪を起こしてしまったタイプです。この場合、子どもと親の間に、情感のこもったコミュニケーションが乏しかったという要因が考えられます。温かで自然な人間関係を、真っ先に築くべき親との間に交流がないため、子どもは表面的には社会と適応しているように見えますが、実際には常に不適応感に悩んでいるのです。

▽その背景と対策
こうしたタイプの子どもには、周囲の大人の考えを先読みしてしまい、ありのままの環状を表に出すことができなくなってしまう特徴があります。表層的な交流しかない家庭の中で育つと、子どもは自分の素直な感情を表現する方法を体得することができません。

思春期になると、内的世界への没入という形で、子どもは空想の中で欲求を満たすようになり、その結果、ゆがんだ暴力性へのあこがれといったものが芽生えてしまうことにつながります。

人生の先輩である、身近な大人との交流が、子どもには必要です。最も身近な大人である親と心から交流をすることで、子どもは自分の素直な感情を外へ向ける方法を覚えていくものです。親は、子どもとの交流の機会をできるだけ多く設けることが大切です。
TYPE3
強い自分の崩壊
思春期になって大きな挫折を体験したタイプ

勉強や運動で活躍していた少年が、思春期に挫折を経験し、精神不安定に陥って、衝動的に犯罪を起こしてしまったタイプです

その裏側には、子どもに対する親の偏った評価があります。子どもの弱い部分を認めようとせずに親が子どもを過大評価するために、子どもはその評価に従わざるを得ません。思春期になり、大きな挫折に直面すると、それまで自分自身に抱いていた強いイメージが崩れ、現実の姿にがく然とし、深くプライドが傷つきます。こうしたタイプの少年の犯行には、計画的に犯罪を起こそうという意図はなく、自分が抱えていた劣等感や傷ついたプライドを刺激され、自棄になり衝動的に犯行に走るという側面があります。

▽その背景と対策
子どもの良い面しか見ようとせず、子どものマイナス面に目をつぶるような親の偏った見方が、このタイプの少年を形成します。プラス面のみを評価される子どもは、自分の「弱い部分」を否定されていると感じ、「よい自分」だけを親の前で見せざるを得なくなってしまいます。

親の側でも、それまで子どもに注いできた期待が裏切られたと感じるために、思春期の挫折に対応できず、急に子どもを無視したり、一方的な怒りをぶつけたりするケースもあります。

自分の子どもを認めることと、過大評価することは違います。子どものあるがままの姿を客観的に把握し、対等な立場で子どもとしっかり交流を図ることが必要です。また、思春期の挫折は、子どもが一度は通る道です。そこで子どもが感じる心のショックを、親の側がしっかり受け止めて導いていくことが大切です。
「自分」と「他者」との間に健全な交流を築くことができず、また周りから偏った評価だけを押しつけられた結果、少年は自らの心の中に深い闇を住まわせることになってしまいます。また、少年の心情を、だれよりも早く察知するべき親の側に未成熟さがあることも、近年の少年犯罪事件における特徴の一つです。

少年が犯罪を起こす前は、その前触れともいえる行動を示していることが最近の研究では分かっています。そのような「前駆的行動」を、親や教師、地域住民など周りの人間がしっかりとキャッチし、互いに連携しながら、少年に対して適切な対応を行っていきましょう。
心に問題を抱え、犯罪の前触れを示す行動
▽問題行動頻発タイプ
小学校〜中学校=家財持ち出し、万引きなど
中学校=学校不適応、ビデオやゲームの収集など
▽表面上問題なしタイプ
小学校〜中学校=いじめられ体験、孤立、ナイフや暴力的ゲームの収集
中学校=親の期待の強さや、表面的な家庭の裏にある隠された問題などによる、家族関係での傷つき
▽思春期に大きな挫折をしたタイプ
幼少期=わがままで乱暴な傾向、小学校〜中学校=欠席、早退、遅刻や授業のエスケープなどの学校不適応、微熱や腹痛などの身体的症状、周りの人間に対する乱暴な行為や、ナイフなどの凶器所持など。
犯罪の直前の心理状態
殺人願望、
自殺(願望、企画)

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