今月の人

人生の最終章 輝いて過ごしたい

211.浦崎清子さん(71)

 十月に開催された沖縄市老人クラブ連合会の意見発表大会に出場した知花老人クラブ会長の浦崎清子さん、「人生の最終章である老年期を楽しく有意義に輝いて過ごすことにこそこの世に生を受けた甲斐がある。高齢者よ、積極的に外に出て自身の人生の集大成を飾りましょう」と力強く訴え、見事最優秀賞を受賞した。持ち前の好奇心と責任感で、何事にも前向きに取り組む行動的な七十一歳女性の素敵な生き様を今月は紹介する。

 浦崎さんは知花で薬局を経営する傍ら、社会活動や地域活動に積極的に参加してきた。これまでに商工会議所の一号議員、平和行政推進委員、女性問題懇話会会長、文化協会文芸部長、市教育委員、知花自治会長と、実に多くの役職を歴任してきた。「興味を持つとのめりこむ性格で、半ば押し付けられたような形で引き受けた役職も任期が終わる頃には面白くて夢中になってやっていました」と振り返る。
 七十も手前になり、長年経営してきた薬局も閉め、社会的に果たすべき責任も果たしたのでのんびり充電でもしようかと思ったが、「イヤーガドゥナインドー(あなたしかできないよ)」と周りから推され、老人クラブの書記・会計を引き受け、昨年、知花老人クラブの会長に就任した。老人クラブ活動に足を踏み入れて、浦崎さんはその奥の深さと面白さにどっぷりはまってしまったという。「老人クラブを『デイケア』みたいな場所と思っている人がいるかもしれないけどそうじゃないです。老人クラブは、言わば『カルチャースクール』。自分磨きの場所です。」と話す。老人クラブに集う高齢者たちは長い人生の中で豊富な経験や知識を培ってきた魅力的な人たちがほとんど。教わることがたくさんあり日々新鮮な発見で満ち溢れているという。老人クラブの日々は忙しい。サークル活動、集会や発表会、スポーツイベントなど毎日スケジュールが目白押しだ。「役員は会議も多く分刻みのスケジュール。現役時代より今が忙しいかも。」と苦笑した。
 今、浦崎さんが力を入れて取り組んでいることは、外にあまり出てこない高齢者を老人クラブに誘い出す友愛活動。地域の高齢者宅を訪問し、サークルやイベントを案内したり、時には送迎まで引き受けて老人クラブ活動への参加を呼び掛けている。「一人でも多くの高齢者にこんな楽しい場所があることを知ってほしい。みんなが生きがいを持って充実した日々を送ってほしいから私は頑張れる」と話した。
 座右の銘は「生涯現役」。「いつ死んでも後悔しないよう、最後の瞬間まで自分らしく輝くため毎日精一杯生きています。」と笑顔を見せた。

▲ページトップへ

▼戦後文化シアター 今月のヒストリート

市史編集担当/
TEL:939-1212(内線2273)
ヒストリート、ヒストリートII/
TEL:929-2922

 左の写真は、ヒストリートIIの入口に展示してある素材の違う三種類の分銅です。
 左から一九一〇〜二〇年代に京都府で製造された鉄製分銅、三八〜四五年に岐阜県や愛知県瀬戸市で製造された陶製分銅、四五〜五〇年に沖縄で製造されたジュラルミン製分銅です。
 何故、製造された時代によって素材が変わっているのでしょうか?
 平時の分銅は鉄で作られますが、戦時中の金属類は兵器の材料として回収されるため鉄不足になります。それを補うために陶器の分銅が誕生。そして焦土と化した戦後は戦闘機の残骸を利用したジュラルミン製分銅が製造されます。
 ジュラルミン製と言えばナベ、ヤカン、アイロン等々、利用した経験のある人も多いと思います。
 それらの道具を製造するナービヤー(鋳物(いもの)工場)は、四六〜四九年頃には戦後第一の産業といわれるほど盛況で、市内では泡瀬や越来などにナービヤーがありました。『泡瀬誌』によると泡瀬一区には五、六カ所の工場があり、泡瀬塩田地域の一部に大量に埋められていたジュラルミンを利用したとされています。
 物言わぬ道具たちですが、その材質で当時の状況を如実に物語っているのです。

▲ページトップへ