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◆ 広報おきなわ12月号(N0.390)
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沖縄に対する脅威を認識していない |
防衛施設庁長官からの回答に東門市長は「国の回答は、基地機能の強化と市民への新たな基地不安と負担を強いるものであり、市民の命と暮らしを守る立場から重ねて強く反対を表明する」と所見を発表した。
パトリオット(PAC3)の嘉手納基地配備に関する防衛施設庁長官への公開質問状の回答について |
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1.経緯 |
 ▲公開質問状についての記者会見を開いた東門市長(市庁議室) | 地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の嘉手納基地の沖縄市側配備については、地元に説明もなく、一方的に行われてきたことに対し、沖縄市としてはこれ以上の基地機能の強化と新たな市民負担は容認できないという立場から、平成18年10月2日に米軍及び日本政府へ遺憾を表明するとともに、強く抗議を行ってまいりました。
さらに10月5日付で防衛施設庁長官へ公開質問状をもって8項目の回答を求めてまいりました。
11月6日に、防衛施設庁長官より公開質問状への回答がありましたので、この公開を行い、国の回答に対する沖縄市長としての所見を表明します。
そもそも沖縄市が国へ公開質問状を出すに至った理由は、@在日米軍再編やPAC3の配備について、地元に具体的な説明や情報の提供がないまま、頭越しに行われたこと、APAC3の配備は嘉手納基地の機能強化であり、新たな市民負担になること、B沖縄は基地在るがゆえに常に戦争への脅威にさらされてきたが、PAC3の配備で沖縄への脅威が明らかとなり、しかも脅威はさらに強まったということを証明するものであるということです。
この三つの視点に立って、8項目の質問をさせていただきました。 |
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2.パトリオット(PAC3)の嘉手納基地配備に対する公開質問状 |
米軍は地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の嘉手納基地への配備ついて、防衛施設庁長官へ次の8項目について質問し、次のような回答が得られました。 |
(質問1) 今回のPAC3の配備日程は、日本政府の承諾の下に実行されたものなのか。 |
(国の回答) アメリカ合衆国軍隊(以下「米軍」という。)のPAC3の具体的な配備の在り方については、平成18年5月1日の日米安全保障協議委員会の際に発表された「再編実施のための日米ロードマップ」を踏まえ、その配備の場所や時期を含め、我が国に駐留する米軍の兵力態勢再編に係る日米間の協議や日米の弾道ミサイル防衛政策当局間の協議を重ね、決定に至ったものである。 | |
(質問2) PAC3の配備については、日本政府は、地元自治体への説明等は、7月20日の防衛施設庁長官の説明で十分だとの認識なのか。また、地元の理解はそれで得られるという判断なのか。 |
(国の回答) PAC3の嘉手納飛行場及び嘉手納弾薬庫地区への配備については、平成18年7月20日、防衛施設庁長官などが沖縄県を始めとする関係地方公共団体を訪問し、その配備の意義、配備部隊、配備規模及び配備時期等について説明したところである。具体的には、・配備の意義として、本件PAC3は、弾道ミサイルの脅威から、我が国、特に沖縄を防護するための純粋に防御的なシステムであり、また、このシステムの配備により、沖縄に駐留する米軍が有する抑止力もより確実に維持されることとなり、沖縄を始めとする我が国の安全に資すること・配備部隊、配備規模として、1個大隊(4個中隊)のPAC3部隊の配備が予定され、約六〇〇名の要員と、その家族約九〇〇名が移駐すること・配備時期として、人員については8月以降、器材については9月以降に移動することなどについて説明したところである。
また、今般のPAC3の器材搬送の日程等についても、米側に確認の上、関係地方公共団体への情報提供に努めてきたところである。いずれにせよ、本件PAC3は、純粋に防御的なシステムであり、嘉手納飛行場や嘉手納弾薬庫地区への配備により、沖縄を始めとする我が国の安全に資することになることから、可能な限り早い時期に運用可能となることが重要と考えており、ご理解いただきたい。 | |
(質問3) 沖縄の基地負担軽減前にいち早くPAC3の配備を優先させることは、沖縄へのミサイル攻撃の脅威が従前より高まっているとの認識か。そうであれば、根拠は何か。 |
(国の回答) 先般の北朝鮮によるミサイル発射事案や核実験等からも、弾道ミサイル防衛体制の整備は、我が国の喫緊の課題となっており、日米で緊密に連携しつつ、早期の体勢整備を図っているところである。PAC3を嘉手納飛行場及び嘉手納弾薬庫地区に配備するとの決定は、配備場所の地積、後方支援の容易性、地域防衛の必要性、抑止力の維持等を総合的に勘案してなされたものであり、特に沖縄に対する特定の脅威が高まっているとの認識から行ったものではない。 | |
(質問4) PAC3の配備による基地防御システムの強化は、基地機能が従前より強化されるとの判断か。 |
(国の回答) PAC3は、相手方が弾道ミサイルを発射しなければ応ずるものではなく、それ自体が攻撃力を有さない純粋に防御的なシステムである。我が国のBMDシステム整備と同様、我が国の防空能力を補完するとの観点から実施されるものである。このシステムの配備により、沖縄に駐留する米軍が有する抑止力ならびに対処力もより確実に維持されることとなり、沖縄を始めとする我が国の安全に資することになる。 | |
(質問5) 在日米軍再編において沖縄の基地負担軽減を掲げている中、PAC3の配備はその方針に逆行するものではないか。「逆行するものではない」という認識であれば、その根拠は何か。 |
(国の回答) 今般の在日米軍の兵力態勢の再編は、抑止力の維持と地元の負担軽減を図るという基本方針に基づき行われるものである。
PAC3の嘉手納飛行場及び嘉手納弾薬庫地区への配備に伴って要員約六〇〇名と、その家族約九〇〇名が増加することになるが、本件PAC3は、弾道ミサイルの脅威から、我が国、特に沖縄を防護するための純粋に防御的なシステムであり、このシステムの配備により、沖縄に駐留する米軍が有する抑止力もより確実に維持されることとなり、沖縄を始めとする我が国の安全に資することになる。
また、沖縄の負担軽減として、嘉手納飛行場からの訓練移転については、本土の移転先となる関係地方公共団体22道県市町のうち、現在までに20道県市町までご理解いただくなど、多くの関係地方公共団体から御理解をいただいており、今後も、沖縄の方々の目に見える形での負担軽減を図るべく、地元のご理解を得るよう努めてまいりたい。 | |
(質問6) 在日米軍再編において、沖縄の基地は米軍の軍事戦略上、強化されたとの認識か。 |
(国の回答) 今般の在日米軍の兵力態勢のの再編は、基地機能は重要であるものの、沖縄県民の過重な負担を軽減することは必要という見地から行われるものであり、沖縄においては、普天間飛行場の移設・返還及び海兵隊要員約八〇〇〇名のグアム移転に続いて米軍施設・区域が統合されることにより、嘉手納飛行場以南の相当規模の土地の返還が行われることとなっている。 | |
(質問7) PAC3の嘉手納基地における沖縄市側への4基配備はいかなる理由によるものなのか。 |
(国の回答) 本件PAC3の具体的な配備の詳細については、米軍の運用に関することであり、お答えすることはできないが、沖縄を防護するとともに、沖縄に駐留する米軍が有する抑止力及び対処力を維持するとの観点から適切になされたものと承知している。 | |
(質問8) PAC3が配備されることによって生じる周辺住民の精神的不安をどのように認識し、それにどう対応するのか。 |
(国の回答) 本件PAC3は、運用の面から考えても、大きな騒音を発することもなく、実射訓練を沖縄で行う予定もない。また、PAC3システムの使用する電波については、施設・区域の外において、人、畜産物などへの影響は全く無視できるものである。 なお、PAC3は、弾道ミサイルの脅威から、我が国、特に沖縄を防護するための純粋に防御的なシステムである。また、このシステムの配備により、沖縄に駐留する米軍が有する抑止力も確実に維持されることとなり、沖縄を始めとする我が国の安全に資することになることから、ご理解いただきたい。 | |
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― 市長所見 ― |
国からの回答は、市民の疑問や不安を払拭するものではなく、逆に市民感覚と国の認識の違いの大きさを強く印象づけるものでありました。 |
特に、PAC3の配備に対する市民の不安や新たな基地負担には、言及されることもなく、逆に「このシステムの配備により、沖縄に駐留する米軍が有する抑止力もより確実に維持される」ということが回答では強調されております。さらに「対処力」という新たな基地機能が強化されていることが示されております。 |
これは、先に久間防衛庁長官がPAC3の沖縄への配備について「むしろ沖縄の人は喜んでもらいたい」と述べたことを意味するものであり、平和を願う市民の心からは程遠いところにあるものと考えます。 |
また、国は「北朝鮮によるミサイル発射事案や核実験等からも、弾道ミサイル防衛体制の整備は、我が国の喫緊の課題」としながらも、「特に沖縄に対する脅威が高まっているとは認識していない」とのことであり、沖縄の脅威が従前より高まっていることやPAC3の配備による嘉手納基地の機能強化を否定していることに、率直な疑問を抱かざるを得ません。 |
国は、地元への情報の提供や説明について「今後ともご理解をいただきたい」との回答にとどまるとともに、PAC3の配備には要員等の負担増を認めながらも、基地の防護を優先させる姿勢を示しております。 |
このようなことは、納得のできるものではないと考えます。以上のことから、公開質問状に対する国の回答は、基地機能の強化と市民への新たな基地不安と負担を強いるものであり、市民の命と暮らしを守る立場から、パトリオットミサイルの嘉手納基地の配備について、重ねて強く反対を表明します。 |
平成18年11月7日 沖縄市長 東門 美津子 | | | |
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