更新日:2025年1月24日
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昨年度の寄贈品のなかに、このバイオレットとウルマの箱がありました。
これは市内在住のコレクターの方の収集品で、沖縄にまつわる様々なものを集められています。「そんなものまで!?」と思うかもしれませんが、平成30年に販売が終了し、10年後…50年後…どれだけの人が覚えているでしょうか?博物館の資料は学習や研究に使うのはもちろんですが、見た人に「懐かしさ」や「思い出」を感じてもらう役割もあるのではないかと思います。
郷土博物館では、昔のモノや音に触れて思い出をよみがえらせる“回想法”の体験も実施しています。博物館のコレクションが、当時の暮らしや気持ちを思い出す手助けをしてくれるのです。
このバイオレットも、いつか“平成”の時代を展示する日が来たとき、展示室の片隅で誰かの思い出の品になっているかもしれないですね。
昨年度、この展示品をいただきました。造花の精霊箸(ソーローメーシ)です。精霊箸はお盆のときに、ご先祖様が使う箸としてお茶碗と一緒にお供えするもので、メドハギという植物が利用されてきました。
この造花はまっすぐな茎に細かな葉がたくさんついている様子など、メドハギに似せてあります。たしかに、これならメドハギを探したりする手間もなく、毎年つかえて便利そうです。
一方で、博物館としては少しさびしさも感じます。
ほんの数十年昔は、先祖のことを思いながらメドハギを探して摘んで手間をかけるという、ゆったりとした時間と空間があったはずです。今ではメドハギが生えるような土手も少なく、精霊箸は購入するものになり、そして生の植物ではなく、この造花が誕生したのでしょう。
これも文化の移り変わりかもしれませんが、忙しい日々の中で大切なものを見失いそうな、そんな憂いを感じました。
この刀は9月11日に放送された「琉球トラウマナイト2020」の小道具として使われたナーチラー(北谷菜切)です。
ナーチラーは那覇市が所有している国宝ですが、ドラマで使うわけにはいかないので、スタッフの皆さんがナーチラーを作っています。ふつうの長さの刀(レプリカ)を本物のように短く切るのが大変だったそうです。
「琉球トラウマナイト2020」では、『ウチナー博物館』にお化けが出たり、学芸員がキジムナーに追いかけられたり、ナーチラーに取りつかれたりしましたが、ドラマの中のことで実際にはお化けは出ませんので、安心して展示をお楽しみください。
太陽の日差しも優しくなり、少しずつ涼しさを感じるようになってきました。
郷土博物館には、数点の花生(花瓶)があります。ほとんどが那覇の壺屋で焼かれたもののようです。
本当なら花生だけではなく、花も一緒に飾りたいところです。でも残念ながら博物館では、花生そのものを展示することはあっても、なかなか花を飾る機会がありません。
生きている花は、どうしても水気や虫でほかのモノを傷める心配があるからです。というわけで、ここでは花生だけを展示させてください。
10月も終わりが近づき、涼しくなってきましたね。この季節になると博物館のスタッフはドングリのことが気になって、そわそわしはじめます。
なかでもこのマテバシイは、沖縄島に自生するドングリの中ではもっとも早くに実が落ちます。今年も実っていないかさっそく探しにいって、少し拾ってきました。
学名は“ Lithocarpus edulis”といい、種小名のedulis はラテン語で「食べられる」という意味です。
このドングリはタンニンなどのアクが少なく、おいしく食べることができます。マテバシイは山の尾根沿いに多く生えています。尾根沿いは、日差しはよく当たりますが、風が強く、乾燥しやすい過酷な環境でもあります。そのような条件に耐える植物は、乾燥しがちな街のなかでもよく育つので、公園や街路樹の植栽によくつかわれ、実際に九州などではマテバシイをよく植えるようですが、沖縄ではほとんど見かけないですね。
苗をつくって、博物館の周りに植えてみようかな。
鬼滅の刃、流行っていますね。マンガやアニメを見た方も多いのではないでしょうか?
その中で、鬼殺隊の使う日輪刀の材料として玉鋼がでてきます。玉鋼は日本刀を作る材料の鉄の一種です(マンガで出てくる玉鋼はさらに特別のようですが…)。
砂鉄を原材料に、日本に昔から伝わる「たたら製鉄」によって作られる鋼のうち、良質なものが玉鋼と呼ばれています。鉄は元々は銀色で、青や黄色に見えるのは鉄以外の成分です。
沖縄での鉄の道具の普及はグスク時代(900~500年前)のはじめの頃と考えられています。沖縄市でもグスク時代の遺跡である越来グスクから、当時の刀子(小型のナイフ)や釣り針等の鉄製品が見つかっています。
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