更新日:2025年1月24日
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沖縄で焼き物といえば、壺屋焼が有名ですが、壺屋焼の中でも素焼きで堅く焼き締めたものをアラヤチと呼びます。
博物館では液体をいれるアラヤチの大きな壺や甕をたくさん収蔵しています。なかには歪んだものやヒビ割れをセメントなどでふさいだものが見られます。
液体をいれても漏れないようにセメントなどで補修していたようです。今の感覚では失敗品に見えますが、当時の人たちは日常的に使っていました。
窯で焼いたときにできたヒビ割れをふさぐのは、おばあさんの仕事だったようで「クーシムンオバー」と呼ばれており、補修されたものは商品として出荷されていました。
クーシムン:穴をふさぐ意味
新収蔵品展の展示品は、ほとんどがみなさまからの寄贈品です。特に民具のような資料は、寄贈いただくことが収集活動になります。
一方で、自然史の資料は、ほとんどが学芸員自身やボランティアさんたちが採集した収集品です。本当は出会う虫すべて集めたいところですが、博物館の収蔵スペースはもういっぱいで、節約しなければなりません。研究や展示で使うかも、と思ったものを採るようにしています。
この箱のなかにも、もうすでに論文にしたもの、新種になるかもしれないもの、これから展示で使いたいものなど、博物館で活躍してくれる標本がいっぱいです。
気になる虫がいたら、「これはどうしてつかまえたの?」と聞いてみてください。
この道具の名前は『マコ』といいます。くしのように並んだ木の板は動くようになっていて、モノに当てて形を写しとる道具です。優秀なもので僅かな凸凹も忠実に写しとってくれます。報告書に載せる土器や石器などの図もマコを使うことで、デッサンではなく本来の形でみなさんに伝えることができるのです。
使い方は当てるだけなので簡単ですが、モノに対して直角にあてることが大切なんです。斜めに当ててしまうと形が変わってしまいますからね。
今回展示している遺物は、『越来グスク』から出土した白磁です。破片ですが報告書では割れのない器のように載ってますよね。これは遺物をもとに、大きさや傾きを割り出して本来の形を想定しマコを使い図化したからなんです。
余談ですが、子供たちにマコを渡すと、まず自分の顔に当てて形を取ってみる子が多いんですよ。鼻の高さやおでこの出っ張りを確認してるのかな?笑
土器にはいろいろな形や模様があります。考古学では、土器の形や使っている土、模様の違いなどによって、土器を区別しています。土器を紹介するにあたって、私たちが一番かっこいいと思ったものを選びました!
1904年に北中城村の荻堂貝塚で発掘され、荻堂式土器と名付けられたものです。約3500年前に作られていました。
この展示品は実際に出土したものを模してつくられた臨作で、平底でふちの部分のコブと模様がしにかっこいい『THE荻堂式!!』って感じがよく出ています! 沖縄市では室川貝塚や八重島貝塚から発掘されています。
(博物館実習生)
ご飯を食べている時に、ブンブンとハエが飛び回るのは、うっとうしいものです。むかしはハエの群れで肉が真っ黒になったという話を聞いたことがありますが、人間もやられっぱなしではありませんでした。
このガラスでできた容器は、ハエを捕まえる容器です。食べ物の上に水を入れたハエ取り器を置いておくと、飛び回っていたハエが容器の中に入り込み、最終的には溺れてしまいます。
他にも、ハエを捕まえる道具としては粘着テープを吊るす「ハエ取り紙」などがあります。最近ではハエ取り紙もハエ取り器もあまり見られなくなりました。ゴミ捨ての変化やトイレの水洗化などで、ハエがたくさんたかるような状況自体が少なくなっています。
発掘調査では昔の人が使ったモノ(遺物)が出土します。土器・陶器・磁器など場所や時代によって出てくるモノは様々。私が惹かれるのはモノに彩られた文様です。使っていたその時々の様子を想像し『あぁ~この時はこれがアツかったんだなぁ』と萌えます。
文様をつける方法は時代によって変化します。一つ一つ手描きであったものが、需要が高まり、型紙摺りや銅板転写などの技法で大量生産されるようになります。
展示遺物はそれぞれ違う技法で文様をつけた近代の器です。
じっくり見てみてください。
それぞれの技法の違い、わかりますか?
【1】手描き(てがき) 【2】型紙摺り(かたがみずり) 【3】銅板転写(どうばんてんしゃ) 【4】吹き絵(ふきえ) 【5】ゴム判(ごむはん)
型紙摺り:文様を切り抜いた型紙を器の表面にあて、その上から絵具を摺り込む。
銅板転写:銅板に画線を刻み絵具を摺り込み、印刷した紙を器の表面に貼って絵具を移す。
吹き絵:絵具を霧吹き状に吹きかけ濃淡を表現。型紙で白抜きし文様を表すものもある。
ゴム判:文様の彫られたゴム印に絵具を付けて器の表面に押印する技法。
現在開催中の『沖縄市のお宝展』では、市内に生息している絶滅が心配される希少な生き物を紹介しました。
アータクーやグリーンバンバンといった名前で親しまれているオキナワキノボリトカゲも、じつは環境省レッドリスト2020・レッドデータおきなわともに絶滅危惧2類にカテゴリーされる希少種です。
これは開発の影響にくわえて、かつてペット目的に大量に捕獲された歴史があるからです。現在では爬虫類の取引の規制が厳しくなり、採集されることは少なくなりましたが、外来種の影響などもあり心配は続きます。
身近に思っている生き物でも、じつは絶滅が危惧されているということは、固有の生き物が多く、生息域が狭い沖縄ではよくあることなのです。
500円で販売中の展示図録では、展示に書ききれなかった細かな解説なども記述しています。見本もありますので、ぜひ一度手に取ってみてください。
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