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更新日:2026年3月26日
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2025年度 広報おきなわ「こちら沖縄市立郷土博物館」コラム欄に掲載されたものです。
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発掘調査で見つかった遺構や遺物には、それぞれに歴史的な意味や価値が秘められています。そんな発掘の成果を詳しく記録・説明しているのが発掘調査報告書です。報告書は専門用語が多くてとっつきにくい印象があるかもしれませんが、市教育委員会が発行する、読み物としても面白いおすすめの報告書があります。
沖縄市文化財調査報告書 第34集『屋取集落に生きる』(編集:沖縄市立郷土博物館)では、発掘成果だけでなく地域の聞き取り調査を組み合わせることで、戦前の集落の様子を分かりやすくまとめています。方言交じりの語り口や、豊富な写真・イラストもあり、親しみやすく当時の雰囲気が伝わるのが魅力です。読んでいると、方言のわからない私にウチナーグチまじりの標準語で話しかけていたオジィを思い出し、懐かしい気持ちになります。
歴史だけではなく、地域の暮らしや文化を感じられる一冊。ぜひ、手に取ってみてほしい報告書です。
(学芸員 富平 砂綾子)
広報おきなわ2025 4月号(NO.610)14ページ(別ウィンドウで開きます)

沖縄市で石橋といえば美里にあるカフンジャー橋が有名ですが、知花の「メーヌカーガー橋」も引けを取らない立派な石橋です。
メーヌカーガー橋は知花の住宅街の中にあり、今でも道路として利用されています。かつて石材を組んで造られた三つのアーチが連なっていましたが、現在は開発の影響で大部分が埋まり、今では一つのアーチしか見ることができません。明治後半に造られたとされ、カフンジャー橋と近い時期に造られています。
この時期の石橋は琉球王国時代に建てられた石橋と比べ、アーチを作る石材の数が多いのが特徴です。メーヌカーガー橋は県内に残る他の石橋と比べることで沖縄の石橋の造り方の変化を見ることができるため、とても貴重な石橋の一つといえます。
現在は草木に隠れて見えづらくなっていますが、昔ながらの橋が今も残っていること、そして当時の最先端 の技術が使われた立派な石造橋が架かっていたことを、ぜひ多くの人に知ってほしいです。
(学芸員 縄田、儀保)
広報おきなわ2025 6月号(No.612)11ページ(別ウィンドウで開きます)

博物館では現在、展示会「カマキリ VS ナナフシ」を開催中です。どちらも身近な昆虫なので、見たことがありますよね。この2つのグループを集めて改めて思うのが、「でかいなぁ~」ということです。
研究で様々な虫を相手にしますが、昆虫のほとんどは5mm以下。普段は顕微鏡をのぞきながら調べごとをするので、種類によっては10cmをゆうに超えるカマキリとナナフシはものすごく大きく見えます。
こんな巨大な昆虫が身近にいるなんて、沖縄の自然はやっぱり素敵だなぁと感じますね。どちらも細長い体が特徴的ですが、カマキリは肉食性、ナナフシは草食性といった食性の違いをはじめ、体のつくり、生態などを比べてみると面白い発見がたくさんあります。展示では、そんなカマキリ・ナナフシの魅力をぎゅっと濃縮して紹介しています。
ぜひ博物館へ遊びにいらしてください。
(学芸員 刀禰 浩一)
※展示会「カマキリ VS ナナフシ」は2025年9月25日に無事終了いたしました。
たくさんのご来場ありがとうございました!
広報おきなわ2025 8月号(No.614)9ページ(別ウィンドウで開きます)

今年の10月1日は旧暦の8月10日。
カレンダーをよく見ると、「シバサシ(柴差)」と書かれていませんか。旧暦8月10日頃は「ヤナムン(魔物や亡霊)」が出るとされる時期です。この時期、家を守るため、ススキやクワの葉で作った「サン」を家の四隅に差し、魔除けとします。これを「シバサシ」と呼びます。
現在の沖縄市でも、門やフェンスに青々としたサンが差されている家を見かけます。昔は同じ時期に「ヨーカビー」という行事もありました。夜中、人々が高い場所から集落を見守っていると、丸い火の玉がぽっと上がる。これは「タマガイ」と呼ばれ、災いの兆しでした。タマガイが出た屋敷の人は家を出て、3日ほど浜に仮小屋を建てて過ごすなど、大がかりな厄払いをしたそうです。戦後はあまりタマガイを見なくなったと聞きますが、一晩みんなで集落を見守る行事、不気味で怖いけどちょっと体験してみたい気も……まさに怖いもの見たさですね。
(文化財調査専門員 八田 夕香)
広報おきなわ2025 10月号(No.616)13ページ(別ウィンドウで開きます)

オキナワイシカワガエル(大宜味村にて)

冷たい道路で動けなくなっていたヒメハブ(国頭村にて)
最近は雨の日が増えましたね。
沖縄では、空気のかたまり(気団)の入れ替わりに伴って、梅雨と冬の2回、雨の多い季節が訪れます。
雨に合わせて活動が活発になるのがカエルたちで、産卵に水場が必要な彼らにとっては繁殖のシーズンです。本土では多くのカエルが雪解けから梅雨にかけて産卵しますが、沖縄では梅雨に産卵する種類と、冬に産卵する種類がいるのが特徴です。
日本一美しいともいわれるオキナワイシカワガエル、滝つぼに卵を産むハナサキガエルなどが冬に産卵する代表的なカエルですが、生息地はやんばるに限られます。市内で観察できる冬のカエルとしては、鮮やかな緑色をしたオキナワアオガエルがいます。繁殖期にはカエルが狭い範囲に多く集まるため、カエルを主食とするヒメハブには絶好の狩りのチャンスで、夜の水辺には多くのヒメハブが集まります。
しかし、変温動物のヘビにとって寒い冬の夜は活動しにくく、体温が十分に上がらず動けなくなっているヒメハブを見かけることもあります。ヒメハブの方言名「にーぶやー(ねぼすけ)」はその様子に由来するのでしょう。沖縄在来のカエルやヘビは、そのほとんどが沖縄固有の希少な生き物です。市内での生息地は減少していますので、見かけたら大切にしてあげたいものです。
(学芸員 刀禰 浩一)
広報おきなわ2025 12月号(No.618)11ページ(別ウィンドウで開きます)

シマカンカー、シマクサラシと呼ばれる行事は、現 在の沖縄市では与儀のみに伝えられています。シマカンカーは旧暦の11月1日に行われます。
与儀集落の出入り口にヒジャイナーと呼ばれる特製の綱を張り、拝みを行い、集落に結界を作ります。
この結界は、与儀集落に悪いモノが入って来ないまじないとなっています。綱を張る意味を地域の方々に聞いてみたところ、「泥棒が入って来ないように」「人の健康を守るため」「ブタが病気にならないように」と、集落の外からの悪いモノを防ぐまじないとなっていることがわかります。
綱はそのまま下げておき、腐り落ちるままにしておきます。翌年のシマカンカーまで取り換えることはありません。沖縄戦前は、シマカンカーの日、ブタを1頭つぶして集落の人で分け合って食べていたそうです。近所の人はお椀を持って行って、豚肉をもらう風景が見られました。
(学芸員 川副 裕一郎)
広報おきなわ2026 2月号(No.620)13ページ(別ウィンドウで開きます)
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