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◆ 広報おきなわ7月号(No.385)

特 集 施政方針 [ 1 ] ひと輝く 元気な沖縄市
心がかよいあう市民のための市政、
みんなが支えあい豊かさを共感できるまちづくり
ひと輝く げんきな沖縄市
 グローバル化や少子高齢化、地球環境問題の深刻化等、社会状況が大きく転換しつつある二十一世紀初頭において、本県をリードする国際色豊かな中核都市の責務を担い、市民参画による持続的なまちの発展にむけて、行政は常に邁進しなければなりません。個性豊かで魅力ある地域、支えあい豊かさを共感できる地域・安心して住み続けられる地域づくり等を目指して、市民の声に真摯に耳を傾け、「市民がトップ」の立場で、時代に対応する自治体経営に努めなければなりません。「明るく元気な沖縄市、安全・安心な沖縄市づくり」をめざして平成十八年度の沖縄市のまちづくりがスタートしました。
 平成十八年度の市の予算は「ひと輝く 元気な沖縄市づくり」を推進するために、総額四百三十億二千五百八十二万円となっています。六月十五日、市議会六月定例会が開かれ、東門市長より平成十八年度の施政方針が発表されました。今月号は、そのあらましをお知らせします。
 
東門市長・施政方針(要旨)
 第三百回沖縄市議会定例会にあたり、平成十八年度の市政運営に対する所信を申し上げ、市民の皆さまのご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 このたび、多くの市民の皆さまのご信託を賜り、第九代の沖縄市長に就任させていただきましたことに、心から感謝を申し上げるとともに、その責任の重さに改めて身の引き締まる思いがいたします。

 私が一貫して申し上げてきましたのは、格差が広がり、将来への不安や閉塞感をいだく市民が多くなっている現状を目にして、「いのち」と「くらし」を守り、市民主権による自治のまちを市民とともに創りあげたいということです。

 沖縄市を愛し、誇り、このまちにずっと住み続けたいと願う多くの市民の声が、新しい沖縄市への期待を込め、私の背中を力強く押してくださいました。私は、市民の皆さまの市政への熱い思いと、大きな期待に応えられるよう決意を新たにするとともに、常に市民の目線に立った、心がかよいあう市民のための市政の実現に、勇気と信念をもって邁進いたします。

 戦争の世紀と言われた二十世紀が終わり、人類の平和と繁栄のための世紀として、また人が人として尊ばれ、争いのない美しい地球を未来へつなぐことを期してスタートしたはずの二十一世紀は、紛争と貧困、地球環境の問題等、今なお混迷の情況を余儀なくされています。

 また、在日米軍再編の最終報告が日米安全保障協議委員会でまとまりましたが、地元の意向を無視した、日米両政府間の合意に全国的な反発が強くなるなか、普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸部への移設が決まるなど、沖縄県民への事前説明や調整のないまま、頭越しの決定がおこなわれました。

 在日米軍再編が、沖縄の基地負担を軽減するという名目は、果たして達成されたのでしょうか。海兵隊のグアム移転費は新たな国民負担となり、日米の軍事同盟はますます強化され、力による支配が一段と進むのではないでしょうか。

 また、県内米軍基地の自衛隊との共用化は、基地の機能強化へとつながり、特に、嘉手納基地における米軍と航空自衛隊との共同訓練は、基地と隣り合わせの市民生活に大きな不安を与えるばかりか、戦後六十年もの間、市民に押しつけてきた基地負担の増大につながるものです。

 私はこのまちの明日を思う時、戦後の混乱の時代を乗り越え、沖縄市の未来を見すえてまちづくりに情熱を傾け、汗を流してきた先人のご苦労とご努力に、いつも勇気づけられ、新しい力がわいてくるのを感じます。

 私たちのまち沖縄市の財産は市民一人ひとりであり、また、先人たちが創りあげてきた、豊かでエネルギッシュな文化や風土だと確信しています。私は「人こそ財産、人こそ力、人こそ希望」という信念に基づき、市民の皆さまの知恵と力を結集し、明るく元気のある沖縄市の実現に全力で取り組んでいきます。

 市政を進めるにあたっては、市民の皆さまの声を十分にお聞きし、共に考えながら議論を深めていくなかで、まちづくりのビジョンや課題を共有する仕組みをつくっていくことが大切だと考えています。

 そのためには、徹底して行政の情報を公開し、行政の仕事について説明責任を果たすように努めるとともに、市民との協働による時代に対応した行政組織へと脱皮していく必要があります。

 時代の変化に敏感になり、常に市民の立場に立った行財政改革が、今強く求められていると考えます。

 また、地方分権の時代にあって地方自治体のトップは市民であり、国と地方自治体が対等の立場でむかい合い、市民の声が地域を創るという市民主権の姿勢を推しすすめていくことが市長に託された責務だと確信しています。

 私は、平和を願う市民の心を大切にし、東アジアの小さな島にあっても、常に世界の平和と友好に貢献するという高い志を持って、市民とともに誇りある沖縄市を創造するために全力を尽くす覚悟です。

 市長に就任するにあたって「ひと輝く げんきな沖縄市」の実現にむけて、次の十本の柱を基本政策として市政を運営していくことをお約束いたしました。


一点目は、「信頼」と「支えあい」をだいじにするまちづくりへの取り組みです。

 市民一人ひとりがお互いを信頼し、支えあうなかで、「元気あふれる沖縄市」が実現すると確信しています。市民の目線、地域の声を主体とする市民主権の市政運営があらゆる政策の基本です。

 企業、NPO、市民団体など市民とのパートナーシップによる多様な市民活動を奨励し、徹底した情報公開と市民参画で開かれた市政をめざします。

 市職員の知恵と力を活かし、公の責任をしっかり見すえた行財政改革をすすめ、市民とともに夢を語りあえる市役所に変えます。


二点目は、「働くひと」がげんきなまちづくりへの取り組みです。

 地域経済を支える中小企業が元気を取り戻すことが必要です。そのために、経営基盤の整備、技術開発など経営向上の支援をおこないます。

 公共工事には、政策的な誘導による徹底した地元企業の参入をすすめ、地域が誇れるまちづくりをめざします。

 若者や女性、障がい者の働く場の拡大、非正規雇用の就労条件の改善など働く権利の保障、失業者・離職者への対策を強化します。


三点目は、笑顔行き交う「にぎわい」のまちづくりへの取り組みです。

 中心市街地はまちの顔。商業、文化、交流、遊びなど多彩な市民活動が繰り広げられる表現の場、観光エリアとして再生を図ります。

 空き店舗の多様な利活用、個性ある通り景観の創出、バリアフリー化、新交通システムの導入により、誰もが気軽に楽しめるにぎわいの空間、中部圏の中核都市にふさわしい中心市街地をつくります。

 特に、中の町ミュージックタウン(音市場)を核とする、音楽によるにぎわいと産業を興し、コザ十字路地域の商住近接による市場活気の再生など、各地域にあった商店街整備に取り組みます。


四点目は、いきいき、のびのび「こども」のまちづくりへの取り組みです。

 「いきいきこどものまち」を宣言します。

 地域ぐるみの子育て支援により、こどもたちが安全で安心して学び・遊び・成長できる環境づくりに力をいれます。

 学校はこどもたちのもの。一人ひとりの個性が輝く人間性豊かな教育をめざします。障がいのある子も地域で一緒に学べる統合教育を充実します。

 現行教育基本法を守り、教職員の主体・自主・創造性を基に三十人以下学級の実現、基礎学力の向上、国際化・情報化・環境・文化など、時代の求める分野への積極的な関心が高まるような教育環境の充実をめざします。


五点目は、いのちかがやく「健康一番」のまちづくりへの取り組みです。

 構造改革に名を借りた福祉の切り捨て、弱者軽視の格差拡大に反対し、公の責任と民間福祉力との協調による地域福祉社会をめざします。

 高齢者・障がいのある人・低所得者・年金生活者・女性やこども、誰もが安心して暮らせるよう、福祉・保健・医療の総合サービスによる「市民総健康づくり」をすすめます。庁内外の関係機関、横断的な組織体制で市民の健康づくりを総合的にサポートするプロジェクトチームを設置します。

 社会福祉センターの再建をおこない、健やかで安らぐ福祉都市の実現をめざします。


六点目は、あふれる個性がひびきあうまちづくりへの取り組みです。

 文化の源は図書館。十三万市民にふさわしい市民図書館の建設をおこないます。

 歴史と人が織りなし花開いた「コザ・チャンプルー文化」を個性豊かな文化資源として発展させ、市民の自由闊達な文化活動や文化を継承し、創るひとを支援するとともに、エイサーをはじめとする伝統芸能からロック・ミュージック、島唄まで、多彩な文化によるまち興し・ひとづくりをすすめます。

 生涯スポーツをとおして市民の健康づくりをすすめるとともに、プロスポーツや競技スポーツ活動を奨励し、スポーツ交流都市づくりをすすめます。

 地域が誇る技・品・芸能・人情・沖縄でいちばん・沖縄でここだけなど、「一区一品運動」を奨励し、自治会の主体的な活動を応援します。


七点目は、多様な生き方を応援するまちづくりへの取り組みです。

 男女の人権がともに尊重され、仕事や子育て、地域・社会活動などに等しく参加できるよう、女性に対する因習や雇用の不平等、企業・組織・団体における女性の登用などの改善に取り組みます。

 「(仮称)男女共同参画センター」を設置し、男女平等意識の啓発、悩み相談事業などの強化をおこない、多様な生き方、自立を応援します。


八点目は、たくましい農業・水産業・製造業をはぐくむまちづくりへの取り組みです。

 農業・水産業・製造業を大切にします。収益性の高い都市近郊型農業、栽培漁業、製造業の振興に力をいれ、沖縄市オンリーワンの特産品開発や地域ブランド化を推進します。

 地産地消による食の安全性の確保、健康産業の振興、農業と加工業・観光・情報関連サービスなど多様な業種が連携する「アグリビジネス構想」の実現をめざします。

 中城湾港新港地区の企業支援をはかり、物流中枢加工拠点としての機能強化を促しながら、足腰の強い産業を育てます。


九点目は、自然、共生、くらし快適なまちづくりへの取り組みです。

 自然環境を保全し、地球にやさしい環境を維持するために、クリーンエネルギーの活用、省エネルギー対策、大量廃棄型社会から循環型社会をめざし、総合的な環境保全対策に取り組みます。

 住みよい住環境、便利で安全、快適な都市環境を整備するとともに、道路・公園・公共施設などのゆきとどいた管理を強化します。

 東部海浜開発事業については、着工されながらなお市民の賛否が二分されている背景には、経済社会の変化、土地利用や企業立地の見通し、将来にわたる市民負担等の不透明さがあります。これらの情報をいま一度精査するなかで、あらゆる情報を市民に公開し、市民意見の集約をおこないます。

 貴重な海洋生物の壊滅を避け、豊かな自然環境が生きるまちづくりをすすめます。


十点目は、ちからづよく「自立」を描くまちづくりへの取り組みです。

 「いのち」と「くらし」を大切にする市民の心を基本に、日本国憲法の平和主義を守ります。県民無視の米軍再編、基地機能の強化、嘉手納基地の自衛隊共同使用に反対し、日米地位協定の抜本的改正を求めます。

 基地による環境被害や人権侵害には真正面から取り組み、安全・安心のくらしを守ります。

 地域経済の自立、活性化にむけ、基地の整理縮小、返還地の早期利活用、地権者への補償、軍離職者の雇用保障を求めます。

 以上の十本の柱は、市民の皆さまへのお約束であると同時に市長としての私の姿勢です。その実現にむけては、「沖縄市活性化百人委員会」を設置するなど、市民の皆さまの声を真摯に受けとめながら、できるだけ早く具体的な計画を立て実行していきます。そのためには職員の力はもとより、議員の皆さまのお力添えは不可欠であり、重ねてご理解とご協力をお願い申し上げます。

 つぎに、第三次沖縄市総合計画・第二次基本計画の初年度にあたり、平成十八年度の主要な施策の概要をご説明いたします。
 
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