知花花織

国指定の伝統工芸品に沖縄から23年ぶり

産業構造審議会伝統的工芸品分科会指定小委員会が五月二十一日に開かれ、知花花織を国の伝統的工芸品に指定する事を内定した。沖縄県の工芸品の認定は二十三年ぶり。

経済産業省の産業構造審議会伝統的工芸品分科会第十回指定小委員会が五月二十一日に経済産業省本館で開かれ、知花花織を国の指定する伝統的工芸品に加える事を内定した。七月をめどに官報で告示し、正式に指定される見通し。沖縄県の伝統工芸品の認定は二十三年ぶりで十四品目。知花花織の認定で国の伝統的工芸品は二百十二品となる。

知花花織が織られていた知花地域は沖縄戦で大きな被害を受け、戦後はわずかな織り手が細々と制作を続けてきた。その状況を変えたのが、琉球大学で知花花織を研究した幸喜新さん。研究した知花花織の技法をまとめ、多くの支援者や行政の協力のもと知花花織の織り手の育成に努めた。市では知花花織で新たな地域文化産業の創出を図ろうと平成十二年から支援を推進し、平成二十年九月には知花花織事業協同組合が発足。現在では知花花織を使用した、ネクタイや財布、ストラップ等も製作されている。知花花織は平成二十二年三月に県の伝統工芸製品に指定されており、国の伝統的工芸品としての指定を申請していた。

知花花織で作られた小物
▲知花花織で作られた小物

内定を受け市議会ロビーで披露された知花花織
▲内定を受け市議会ロビーで披露された知花花織

●知花花織とは

知花花織は旧美里村の知花、登川地域などで織られていた織物で、模様が縦方向に連続で浮く経浮花織と刺繍のように糸が浮く縫取花織が特徴。女性たちが旧暦の八月十五日に行う無病息災と五穀豊穣を祈願するウスデーク(臼太鼓)や、男性たちのウマハラシー(馬乗競争)の衣装等、祭事の衣装として着用されていた。十九世紀後半にはすでに技術・技法が定着していたと考えられている。

現在では市民が誇る伝統工芸として、行政や支援者の協力のもと産業化が進められており、国の伝統工芸品と位置付けられることで、さらに認知度が高まると期待される。