今月の人

みずみずしい感性が輝く 十三歳の映画監督

209.仲村颯悟(りゅうご) さん(13)

 日焼けした笑顔がまぶしい爽やかな少年。礼儀正しくはきはきとした受け答えをする。彼は沖縄東中学校に通う二年生。名前は仲村颯悟君。しかし彼は中学生の顔とは別の顔を持っている。十三歳にしてれっきとした映画監督なのだ。 テレビや新聞にもたびたび取り上げられており「見たことがある」と思った人も多いだろう。今月は豊かな感性で映像作品を作り出す「仲村颯悟監督」の楽しくも驚きに満ちた日々を紹介する。

 仲村君が初めて映像作品を作ったのは小学校三年生の時。家庭用ビデオカメラで五分ほどの戦隊ヒーローものの作品を作った。それ以来映像作りに夢中になり、友達と一緒にこれまで三十本ほどの作品を作ってきたという。一言で映像を作るといっても完成までに様々なプロセスがある。まず脚本を作り、続いてロケハン、(撮影場所探し)その間にキャストやスタッフの選定、衣装や小道具の準備、撮影、編集(この時に効果音やBGMも作る)を経て完成。仲村君は撮影のみならず小道具作りからBGM作りまですべての過程を自力でこなし作品を作る。夢中になるととことんつきつめるタイプで一度編集作業に入ると一日中でも作業に没頭してしまうという。
 そんな仲村君を一躍有名にしたのは沖縄観光コンベンションビューロー主催の県内若手映像クリエイター育成を目指す映像コンペティション。県内の新進クリエイターによる三つの入選作の一つに仲村君の作品が選ばれた。コンペの課題は「県外、海外の人に沖縄に行ってみたいと思わせる短編の映像を作ること」。仲村君の「ヤギの散歩」は、結婚式で食べられそうになり逃げ出したヤギの視線を通して沖縄の景色を紹介するもので、入選後、彼が指揮を取りプロの役者とプロのスタッフを使い作品として完成させた。出来あがった作品は発想の面白さと映像の美しさで専門家から高い評価を受けている。
 この夏には友人たちとともに特殊メイクを駆使したホラー映画「耳切坊主」の制作にも挑戦した。また宮古テレビの協力の下に島のこどもたちの友情をテーマにした「島の時間」も現在制作中、更に近々「ジュゴン」をテーマにした半・ドキュメントの制作にも入るという。これまで作った作品の上映会も県内各地で予定しており多忙な日々を送っているが、普段は自転車と釣りが大好きな普通の中学生だ。
 「将来は映画監督になりたいですか?」と聞いてみると「今は映画が楽しいけど、いろいろな経験をしたいので将来のことはまだ決めていません」と笑顔をみせた。好奇心旺盛な少年の未来にはたくさんの可能性の扉が開いている。

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▼戦後文化シアター 今月のヒストリート


戦前のめんこ

市史編集担当/
TEL:939-1212(内線2273)
ヒストリート、ヒストリートII/
TEL:929-2922

 先月の九月七日に、新展示室がオープンしました。当日は多くの方々がお越しくださり、本当にありがとうございました。
 今回は「ヒストリート II 」からめんこ(パッチー)の紹介です。めんこの歴史は古く、江戸時代には粘土を焼いた「泥めんこ」があり、鉛、木など素材も色々。紙になったのは明治の後期で、形は丸形や角形以外に人形(ひとがた)などもあり、サイズも大小様々です。
 絵柄は世相を反映しており、ヒーローの歴史でもあります。当初は「武将」や「力士」などですが、戦時体制下になると「軍人」の絵柄と共に「ユダンニテキガメヲツケル」の標語が書かれた「防諜(ほうちょう)めんこ」なるものもみられます。
 しかし、一九四五(昭和二〇)年の敗戦を境に、米兵や西部劇の主人公に加えて、ローマ字入りのめんこが登場。世の中が落ちついてくると、映画俳優、漫画やアニメの主人公などがめんこを飾ります。
 ある方から話を伺いましたが「戦前のめんこはあまり残っていないみたいで、戦火で焼かれたのかモノ自体が少ないのかはっきりしない。戦後の子どもたちは、めんこの強度を増す為に石油を湿らせたり、遊ぶルールも仲間で発展させていったり…」と話す顔は少年のようでした。皆さんのヒーローが待っています。ぜひお越しを!

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