今月の人

マナーを通して温かい社会を

298/伊禮典子(いれい のりこ)さん(56)

 県内唯一のプロトコール(国際儀礼)指導者として、児童生徒や保護者、企業などを対象にマナー講座を実施する伊禮典子さん。
 マナーは決して堅苦しく難しいものではなく、相手を思いやる心。マナーを身につけることで暮らしやビジネスでも役に立ち、また子育てにおいて躾や家庭教育の土台となるもの、と考える伊禮さんに話を伺った。

伊禮典子(いれい のりこ)さん

 伊禮典子さんは市久保田の出身で、県立北谷高校を卒業し、東京都にある私立鶴川女子短期大学で学んだ後、沖縄に戻り保育士として29年間勤務した。
 保育園などで、こどもや保護者と関わるうち「こどものしつけ」と「マナー」の本質は一緒だと気づき、親が正しいマナーを身につけていると将来の家庭教育に繋がると考え、以前から学んでいた礼儀作法について更に専門性を高めようと、世界共通マナーであるプロトコールを学び、上級認定講師となり、主に小中学校の児童生徒達を対象にマナー講座を開催している。
 伊禮さんはプロトコール上級認定講師としての活動以外に家庭教育コンサルタントとしても活動しており、自らの経験から悩みをもつ子育て中の方を対象に、幼稚園や小中学校、公民館などでセミナーを行っている。
 保育士時代から、礼儀作法の教室を開きたいという目標があったと話す伊禮さんは、受講した生徒たちが将来、マナーやエチケットを身につけた立派な社会人になってほしいと願っている。
「親から子へ、子から孫へと母親をはじめとする多くの方に、幅広くマナーを伝えたい」と話す。
 また「子育てにも色々な切り口がある。親がマナーを学ぶことで、人を思いやり、子育てにもゆとりが生まれ、楽になると思う。 マナーを通して、人にやさしい社会を築いていけるように発信し続け〝沖縄のマナーの母〟といわれるようになりたい」と、更なる目標を語ってくれた。
 伊禮さんの現在の活動は、専門学校の非常勤講師として勤務しているほか、新聞や保育専門誌でもコラムを執筆。 FMラジオのパーソナリティーも務めており、プロトコールだけでなく、ビジネスマナーや沖縄の冠婚葬祭などについても発信している。 「世界で活躍するためには礼儀作法という日本の文化が重要ですが、日本人である以前に、ウチナーンチュですから」と笑顔を見せた。

家庭教育アカデミー沖縄
http://korino.info/

戦後文化シアター 今月のヒストリート

 今年は本土復帰から45年の節目の年です。今月よりヒストリートⅡでは、企画展「石川文洋(ぶんよう)写真展」を開催。 石川氏が撮った復帰前後の写真を含め、これまでにヒストリートで紹介した写真の中から選び、展示いたします。
 報道カメラマンの石川文洋氏は、ベトナム戦争の従軍取材による多数の報道写真で知られますが、撮影対象のジャンルは広範囲に及び、各国の紛争地帯での取材のほか、人々の日常生活、舞台芸能の写真なども撮影しています。 石川氏は故郷沖縄も度々訪れ、復帰前後の沖縄では、世替わりの様子を記録に残しています。
 復帰直前のコザでは、米軍関係者間の人種差別による集団乱闘やトラブルが絶えなかったのですが、地元が自警団を組織し、その防止にあたっていたほか、民警察や米憲兵隊の厳しい取り締まりが効果を上げ、復帰を迎える頃には平静を取り戻していました。
 写真は、復帰の日のコザ市(現沖縄市)のセンター通り(現中央パークアベニュー)のひとコマ。 復帰の日は、一日中雨が降っていましたが、米国人たちは傘もささずにリラックスした雰囲気で通りを闊歩(かっぽ)しています。平静さが伺える1枚です。


1972年5月15日 コザ市
撮影:石川文洋
  • ■市史編集担当/TEL:929-4128(直通)
  • ■ヒストリート、ヒストリートⅡ/TEL:929-2922

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