特集 平和について考える

「市民平和の日」制定20周年 平和のトライアングル+1

 沖縄市民平和の日である9月7日に、沖縄市民平和の日を定める条例制定20周年記念行事「平和のトライアングル+1〜未来への平和の創造〜」が、沖縄市民会館で開催された。
 沖縄市は平成5年に、すべての人が等しく平和で豊かな生活を送れるまちづくりを進めることを目的に、9月7日を沖縄市民平和の日と定めた。9月7日は第二次世界大戦において日本軍が降伏文書に署名し、正式にアメリカ軍に降伏した日である。制定20周年の節目となる今年の記念行事では講演や朗読劇、音楽コンサートが行われた。


朗読劇を披露するSADAKO LEGACYの佐々木雅弘理事長(右)と佐々木祐滋副理事長(左)

サダコ鶴の寄贈

 オープニングセレモニーでは特定非営利活動法人SADAKO LEGACYから沖縄市へ広島記念公園にある原爆の子の像のモデルである佐々木禎子(ささきさだこ)さんが折った折鶴の贈呈式が行われ、同法人理事長の佐々木雅弘(ささきまさひろ)氏より東門市長へ折鶴が手渡された。
 佐々木禎子さんは2歳のときに広島で原爆投下後に降った「黒い雨」により被爆した。その後、一見、健康に育ったかのように見えた禎子さんだったが、被爆から10年後の12歳の時に白血病を発症し、8か月の闘病生活の末に亡くなった。禎子さんは家庭が貧しかったため、満足に治療を受けることができず激痛に苦しんだが、周囲を気遣い弱音を吐く事もなく明るく振る舞った。折鶴は「千羽折れば願いがかなう」と信じ折られたもので、当時、折り紙は高価であったため、薬や見舞品の包装紙で小さな鶴を折った。折鶴は、これまでにニューヨーク、オーストリア、ハワイの3か所に寄贈されており、国内では沖縄市が初となる。


原爆の子の像のモデル佐々木禎子さんの折った貴重な折鶴が贈呈された

 平和のトライアングル+1では禎子さんの物語を、朗読と歌と音楽で表現した朗読劇「おりづるの少女」が、禎子さんの兄弟である佐々木雅弘氏とその息子の佐々木祐滋(ささきゆうじ)氏により披露された。


国内外で「さだ子と千羽づる」の絵本の朗読会を行っている山口泉さん(右)と
遠藤京子さん(左から2人目)が9月6日に沖縄市役所を訪れ、市内の小中学校、
市立図書館、特別支援学校に同絵本を寄贈した

講演「釜石の奇跡」

 多数の犠牲者が出た東日本大震災。岩手県釜石市にも16mの津波が押し寄せ、甚大(じんだい)な被害を被(こうむ)ったが、小中学生の犠牲者は数人と驚くほど少なく「釜石の奇跡」と呼ばれている。講演では、同市の防災教育に携(たずさ)わってきた群馬大学広域首都圏防災研究センター長の片田敏孝(かただとしたか)氏が、これまで取り組んできた防災教育を紹介した。片田氏は津波の際に生き残るためにはどうすればいいのか、こども達が自分自身で考え、行動できるよう、津波の恐ろしさや特徴だけでなく、避難方法について具体的に指導しており、講演ではその教育手法の説明が行われた。また、震災時に、こども達は高齢者や年下の子を助けながら避難したほか、こども達の判断により集団の命が助かっている事例もあり、その紹介も行われた。


(左)「釜石の奇跡」について講演する片田敏孝氏
(右)シベリアンスカンクの音楽コンサート「未来への平和の創造」

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