今月の人

市の中心市街地を、世界に通用するアートエリアにしたい

208.秋友かんな さん(38)

 市の中心市街地にクリエーターを集め、芸術文化交流拠点を築こうと奔走する女性がいる。アートエリアプロジェクト「クリエーターズビレッジ」を提唱する秋友かんなさんだ。食、音楽、踊り、アートといった『表現の世界』で活動する事業者(クリエーター)の『モノ作り』が、ビジネスとして成り立つ環境を構築するために、様々な仕組みや戦略を作り上げようと日々取り組む秋友さんの挑戦を今月は紹介する。

 秋友さんは幼い頃から美術に親しみ、学生時代は美術史を専攻した。その後美術館の学芸員などの職を経て、現在はカデナ空軍基地に勤める傍ら五人のクリエーターと共にパルミラ通りで「カラーズハウス」を運営している。この店舗こそ秋友さんの提唱する「クリエーターズビレッジ」を具現化した第一歩だ。
 「クリエーターズビレッジ」とは、これまで街に点在していたクリエーターを中心市街地に集約し、そのネットワークづくりや、ビジネスチャンスに役立つ仕組みを構築していこうというもの。街の空き店舗をインキュベーション(起業支援)施設と捉え、彼らを空き店舗にマッチングしていくことで、クリエーターの育成、産業の創出、空き店舗対策など多くの波及効果が期待できる企画だ。クリエーター一人ひとりの発信力は弱くても、アートエリアというまとまった単位でより強く効果的に情報発信をしていくことで街の魅力や付加価値を更にアップさせていくことができ、県産業振興公社が支援する「ベン チャー育成連携事業」でもすぐにでも実現可能な有望なプランとして認定を受け注目を集めている。先日、市ファッションタウン推進協議会とも連携を開始、イベントの開催やウェブでの情報戦略について様々な企画を練っているという。秋友さんのもとには新たなクリエーターが次々集まり、彼らの起業の相談などで忙しく飛び回る日々を送る。クリエーターネットワークは、今、彼女のもとで着実に広がりを見せつつある。
 「私には沖縄市の中心市街地は昔も今も魅力的でかっこいい場所。この街にはクリエーターも多く、私のプランはこの街でしか実現できない。この街をニューヨークのソーホーやチェルシーにも負けない世界に通用するアートエリアにしていきたい」と真っ直ぐな眼差しを向けながら夢を話してくれた。「いつ死んでも後悔しない生き方をしているか?」と常に自分に問いかけるという秋友さん、その抜群の行動力とアイデアで中心市街地を魅力的なアートエリアへと変えようとしている。

▲ページトップへ

▼戦後文化シアター 今月のヒストリート


酸素ボンベの半鐘が、ヒストリートIIに設置される様子(7月30日)

市史編集担当/
TEL:939-1212(内線2273)
ヒストリート、ヒストリートII/
TEL:929-2922

 今月七日、いよいよ市民待望の「ヒストリートII」がパルミラ通りにオープンします。同室は、「ヒストリート」の兄弟館だった「しーぶんかん」を発展的に解消して新たに開室するもので、展示スペースもかなり広くなりました(ヒストリートの三軒隣り)。
 ヒストリートIIでは、日本道具学会の村瀬春樹さんより寄託された国内外の「戦中・戦後の転用品・代用品」、報道カメラマンの石川文洋さん提供のベトナム戦争や戦後沖縄の写真をメインに展示。
 また、展示室の出入り口には住吉自治会が提供した酸素ボンベ製の半鐘を設置しました。戦後まもない物が乏しかった頃は何でもリサイクルして使うのが当たり前で、使用済みの酸素ボンベは鐘に利用されました。ボンベ鐘は学校では時鐘用、集落では隣近所の寄り合いの集合を告げたり、遊んでいる子ども達に帰宅時間を知らせていました。展示しているボンベ鐘は住吉区内の鉄工業者が「防犯や連絡に役立てて」と区に寄贈したもの。区では婦人会やエイサー練習の開催を知らせていた他、酔った米兵が集落に侵入してくると、鐘を打ち鳴らして追い払ったそうです。
 半世紀に渡り地域を見守ってきたボンベ鐘をはじめ、数多くの貴重な資料を展示したヒストリートII。ぜひ足をお運び下さい。

▲ページトップへ