更新日:2025年3月24日
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比謝川において、国内外来生物であるオイカワが移入・定着していることを確認しました。博物館では注意喚起のため生体を展示しています。
沖縄国際大学・滋賀県立琵琶湖博物館・郷土博物館らの調査で、本市に流域の大部分をもつ比謝川において、国内外来生物であるオイカワOpsariichthys platypusが移入・定着していることを確認しました。琉球大学風樹館の発刊する学術雑誌『Fauna Ryukyuana72巻(2025年3月5日オンライン発行)』で掲載されました(下のリンクから全文が読めます。)。注意喚起を目的に、実際の魚を見ていただくため、博物館では生体を展示しています。
比謝川で確認されたオイカワ 撮影:金尾滋史(滋賀県立琵琶湖博物館)
若干の婚姻色を示すオス個体 撮影:金尾滋史(滋賀県立琵琶湖博物館)
オイカワは、コイ科ハス属の純淡水魚で、藻類や昆虫類を摂食する雑食性、主に河川の中下流域に生息しています。本種の自然分布域は、本州(那珂川水系と信濃川水系以西)、四国、九州北部と朝鮮半島、中国です。琉球列島では屋久島、種子島、徳之島で移入・定着が確認されていますが、沖縄県内各島においての定着の確認は初となります。
2023年10月から2024年3月にかけての調査で、比謝川上流部の広範囲において多数の個体が確認されました。採集された個体は形態・遺伝子の両面で日本本土産のオイカワと推測され、本土からなんらかの理由で持ち込まれ、比謝川に放されたものと考えられます。
水中を泳ぐ姿 撮影:金尾滋史(滋賀県立琵琶湖博物館)
本種が侵入した徳之島では絶滅危惧種のキバラヨシノボリ類の減少要因とされており、沖縄島でも他の魚類や水生昆虫など在来の生物に影響を与える可能性が考えられます。オイカワは釣りの対象や観賞魚としても人気のある魚ですが、安易な採集・飼育は避け、他の河川への拡散は絶対に防止しなければなりません。本種に限らず、他の場所への人為的な生き物の移動や、飼育していた生き物を野外へ放すことは貴重な沖縄の自然をひどく傷つける行為で、絶対にやってはいけません。
外来種被害予防三原則
「入れない」「捨てない(逃がさない、放さない)」「拡げない(増やさない)」
北部の一部河川でも本種の移入を確認しています。博物館では他機関と協力しながら調査を継続します。
(文責 刀禰 浩一)
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