今月の人

サモアで水道分野の技術支援経験を生かし、国際貢献

281/東江 康共(やすとも)さん(47)

 市水道局と市管工事協同組合は、開発途上国の人々の生活を支えるため、JICAを通して上水道などの修理や施工の専門知識を持った人材の派遣を行っている。
 今回は5月から6月にかけてサモア独立国に渡り、ボランティア活動として管工事業の技術指導の任務に就いた東江康共さんに、現地での活動などについて伺った。

東江 康共さん

 東江康共さんは、美里で生まれ、父親の経営する管工事関係の仕事を5歳の頃から身近に見て育った。その後、美里工業高校に進学し、本格的に設備関係の知識と技術を学んだ。卒業後は経験を積むために県外就職し、平成15年に帰郷し、現在は、市内で父親の後を継ぎ、管工事関係の会社を営んでいる。また、平成21年から平成27年7月までの間、沖縄市管工事協同組合の青年部会長を務めた。
 管工事業は、日常生活に欠かせない水道や排水設備、ガス、消火設備などの工事を行っている。
 東江さんは、今年5月から6月にかけて、県企業局と市水道局、市管工事協同組合などが連携して取り組んでいる「サモア水道公社維持管理能力強化プロジェクト(JICA研修)」において、管工事の技術専門家として、南太平洋にあるサモア独立国に派遣され、現地のスタッフに漏水修繕や管路施工の技術指導を行った。東江さんが市管工事協同組合からサモア派遣の話を持ちかけられた際に「現地でスタッフに的確なアドバイスができるのか不安だったが、サモアの漏水修理の技術力や管路施工方法が、今どのような状況なのかを、自分の目で見て確かめ、自分の技術と経験を生かして協力したい」と思い、現地への派遣を引き受けたそうだ。
 現在実施しているサモアでのプロジェクトは、2014年から2019年の5年間で5人派遣する予定となっている。これまでに市水道局と市管工事協同組合は、カンボジアへ安全な水が使用できるよう、水道環境を整備し、生活の自立を支援した「こころの水を贈る運動」や、JICAの沖縄研修で大洋州島嶼(とうしょ)国(フィジーやトンガなど)の水道職員を対象とした漏水修繕の指導を行ってきた。
 東江さんは、今後の開発途上国での管工事業について「管路施工や漏水修理などの技術は日々進化しており、日本の技術を必要としている開発途上国に、現地で必要なノウハウを提供していけたらいい」と話す。
 取材中に再度サモアに行きたいか尋ねると、東江さんは「幼い頃は、自分自身が海を渡り、技術指導をする立場になるとは考えもしなかった。一つのことを一生懸命に学び、打ち込めば社会に貢献できる人材になれる。機会があれば、また目標とミッションを持って行きたい」と話し、「沖縄市は様々な国籍の人が暮らす都市で、みんな幼い頃から外国の方と交流している。これからの沖縄市の将来を担うこども達は、誰とでも打ち解けられる大らかな気質を生かして、世界に目を向け、見聞を広げ、国際貢献をして欲しい」と、想いを語った。

戦後文化シアター 今月のヒストリート

 ヒストリートでは特別企画展「降伏調印・終戦70周年」に引き続き、今月17日から「戦世の子どもたち(コザ孤児院)」を開催します。
〝戦災孤児〟を収容した「コザ孤児院」の第4回目となる今回の企画展は、写真をはじめとする諸資料、そして新たな資料(孤児院見取り図、孤児院の日誌など)も併せて紹介します。
 本島南部の掃討戦で九死に一生を得た住民は、米軍に保護され、中北部の難民収容所に収容されますが、キャンプ・コザ内にあった孤児院にも6月(1945年)に入ると保護された子ども達が増え続け、7月のピーク時には約800人、8月末には596人が収容されていたという記録が残っています。また、孤児院の人数(受け入れ、引き取り・病院や診療所への移動・死亡など)を記録する日計表があり、統計的な把握は日々なされていたようです。
 同月15日付の『ウルマ新報』には、孤児院で世話をしている孤児の親類が見つからなかった場合、子どもの順調な発育の為には、親切な家庭に世話をしてもらう方が良策であるとのことから、直接間接の協力を緊急に求める記事が掲載されます。戦争によって親・家族を失い、新たな家族との生活を始めた子どもが多くいたことは想像に難くありません。
 戦後70年の今年、いま一度、戦争、平和について考えてみませんか。

沖縄本島コザの医務室1945年8月4日資料:沖縄県公文書館
沖縄本島コザの医務室 1945年8月4日 資料:沖縄県公文書館
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