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大歳の客

 おじいさんとおばあさんが暮らしていました。 朝のお茶を飲みながら、おじいさんが、おばあさんに、「明日は大晦日になっているが、お餅をつく米はあるねえ」と聞くと、おばあさんは、「今日食べる米さえもないのに、ましてや、明日の餅をつく米なんてありませんよ、おじいさん」と答えました。おじいさんは、「そうか。わたし達は若い頃から、よこしまな心を持つこともなく、いつも人には信用されてきたのに、どうしていつも貧乏なのかねえ」とつぶやきながら、外へでていきました。

 しばらく散歩をしていると、身なりもちゃんと整えている人と出会いました。「私は、仲村家に行きたいのですが、仲村家はどのあたりになっていますか。知っていましたら教えてくださいませんか」と尋ねられたので、「仲村家といえば、多分、あの金持ちの家のことだと思います。私が案内いたしましょう」と言うと、「教えていただければ、自分で探していきますから」「そうは言っても、かなり遠いところですから、やっぱり私が一緒に行きましょう」と親切に案内しました。

 仲村家の立派な建物が見えてくると、おじいさんは、「あそこに立派な屋敷囲いが見えるでしょう。あそこが仲村家です。ここからだと、もう、大丈夫ですから、どうぞ用事を済ませて来て下さい」と、おじいさんが帰ろうとすると、その案内した人が、「ちょっと待って下さい」とたもとから紙包みを出して、「わずかなものですが、お礼として、これをあげます」と渡そうとすると、おじいさんは、「私は、それを貰いたいためにご案内をしたわけではありませんので受け取れません」と断るのですが、必ず受け取って欲しいと、無理におじいさんの懐に紙包みを押し込みました。

 おじいさんは家に帰るとおばあさんに事のいきさつを話し、お礼にもらった紙包みを開けて見ると、なんとそれはお金だったのです。おじいさんはたいそう喜んで、「これでお米を買ってきて餅も作り、お雑煮も作ろうねえ」と話し合い、そのお金でお米を買って来ました。

 翌日、大晦日の晩になると、昨日買ってきた米で雑煮を作り、食べようとしていました。すると、乞食のように見すぼらしい姿の人が、「ごめん下さい。私は三日前から何も食べていません。何か食べさせてもらえませんか」と頼みました。あばあさんは、おじいさんにお客さんのきたことを告げると、おじいさんは、「どうぞお入り下さい。この米は自分らが儲けたお金で買ったものではなく、人様からいただいたお金で買ったものだから一緒に食べよう」と快く迎え、腹一杯雑煮を食べさせました。乞食の姿をした人は、「腹いっぱい雑煮もいただいたので、眠くなっってきました。今日はどうか、ここに一晩泊めさせてもらえませんか。軒下でもいいですから」というので、おばあさんたちは、「寒くて風邪をひくといけないので、汚いところですが、どうぞ上がってお休みください」と泊めてやりました。

  翌朝、お茶を差し上げようと、おじいさんにお客さんを起こしにいかせたら、何度声をかけても返事がありません。ふしぎに思ったおじいさんが布団を開けてみると、そこには人の姿はなく、たくさんのお金が積まれていました。その時から、貧乏者のおじいさんとおばあさんはたいそう金持ちになって、幸せに暮らすようになったということです。

沖縄市文化財調査報告書第27集『むかしばなしⅡ』
2002年沖縄市教育委員会

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