今月の人

高齢者の生きがいづくりと雇用の拡大を目指す

272 桑江 良哲(りょうてつ) さん (67)

 今月は、平成26年6月で設立30周年を迎えた沖縄市シルバー人材センターの理事長に就任した桑江良哲さんを紹介する。シルバー人材センターは、60歳以上の会員が自らの知識と経験を活かしつつ、働くことを通して生きがいを得て、地域社会の発展に貢献することを目的としている。今月は桑江さんに、新理事長としての抱負を聞いた。

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 公益社団法人 沖縄市シルバー人材センターは「高齢者等の雇用の安定等に関する法律」に基づき、国や市から支援を受けて運営されており、沖縄市に居住する60歳以上の働く意欲を持った健康な方が会員となり民間企業や一般家庭から仕事を引き受け、会員が自らの知識と経験を活かしつつ仕事に従事することで、高齢者自身の生きがいと健康づくりをすすめ、活力ある地域社会をつくりだすことを目的に運営されており、その新理事長に平成26年6月17日に桑江さんが就任した。
 桑江さんは、大学を卒業後、コザ信用金庫に就職して支店長を歴任し、退職後は、泡瀬自治会の会長を6年間務めた。自治会長を退任後、沖縄市シルバー人材センターで会員として活動していた。
 同センターでは、大工や左官などの専門的な技能や、草刈りや清掃といった一般作業に加え、施設や駐車場の管理など、様々な仕事分野がある。桑江さんは、日本書道院の師範であることから自分の得意分野を活かした仕事に携わりたいと考え、毛筆筆耕(ひっこう)や宛名書きなど事務分野の仕事を希望してセンターの会員になり、理事長となった今でもセンター内の書道同好会で講師を務めている。桑江さんは、事務分野の仕事のかたわら、草刈りや清掃作業の仕事をしており、体を動かしているうちに健康になってきたそうだ。センターの会員たちも桑江さんと同様に、日々、体を動かすことで体力がつき、健康になり、また、会員同士でコミュニケーションを図ることで心も充実し、元気でハツラツとしているという。それに加え、仕事をして社会に貢献しているという緊張感も若々しさを保つ秘訣になっている。実際、センターの会員には80歳以上の会員も40人ほどいて、最高年齢は87歳で、みんな若々しく元気に活動しているそうだ。
 同センターは、平成26年6月で設立30周年を迎えた。今後の課題は、会員数の増加と就業の拡大だ。その対策の一つとしてセンター内で毎週月曜日と水曜日に入会相談窓口を開設している。
 桑江さんは「高齢者が地域社会を支える一員として、働くことを通して自立した生活を維持し、生きがいを感じる場所としてのシルバー人材センターの充実と、会員数や就業機会の拡大に取り組んでいく。また、ボランティア活動で地域に貢献し、市民や地域住民から信頼され愛されるセンターを目指したい」と目標を語った。

戦後文化シアター 今月のヒストリート

 新年おめでとうございます。今年は1975年のベトナム戦争終結から、40年の年に当たります。そこで今回は、ベトナム戦争の報道カメラマンとして知られる石川文洋氏の撮影した沖縄の写真を紹介します。
 石川氏は沖縄県に生まれ、1964年からベトナムの取材を始めます。彼は従軍カメラマンとして多くの写真を残しましたが、同時に戦争の後方支援基地となった沖縄を多数撮影しています。その中には、基地の街である沖縄市を撮影したものも多く、嘉手納基地からベトナムへ出撃する米兵、一時帰還兵で賑わう旧コザ市街地、葛藤(かっとう)の中で復帰を迎える人々など、当時の揺(ゆ)れる沖縄の社会が切り取られています。
 下の写真は1969年、嘉手納飛行場に隣接する黙認耕作地を写した一枚です。彼がとらえた風景は、沖縄戦が終わり20年以上を経てもなお、戦争と関わらざるをえない沖縄の姿でした。この写真から46年が過ぎ、沖縄は戦後70年の大きな節目を迎えています。
 ヒストリートには石川氏の写真をはじめ、多くの戦後資料を収集・展示しています。この機会にぜひ足を運び、二つの戦争と平和について考えてみてはいかがでしょうか。

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黙認耕作地・1969年【撮影/石川文洋氏】

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