特集●沖縄市サッカー場土壌等調査報告

 沖縄市サッカー場のグランドを人工芝として整備する工事の最中、6月13日に地中から枯葉剤や除草剤を製造している米国企業の名称が確認できる複数のドラム缶が発見された。ドラム缶の付着物や周辺土壌の調査分析を行った結果、「2,4,5-T(枯葉剤の成分の一つ)」「PCB(ポリ塩化ビフェニル)」「フッ素」などが検出されたことから、専門家の指摘では、「幾つかの有害物質を起因とした複合汚染が考えられる」という調査報告がなされた。

周辺地域と健康面への影響

 沖縄県より7月25日に「サッカー場の周辺、嘉手納基地内の地下水、河川の底質の分析を行った結果、ダイオキシン類対策特別措置法などで定められている環境基準値の超過はなかった」と発表がなされた。
 また、沖縄市が行なったサッカー場の表層土や北谷町へ搬出された土壌の分析も環境基準値を超えない結果となり、「周辺地域の方やこれまでにサッカー場を利用した方への健康面の影響はない」という評価であった。

今後の沖縄市としての対応

 今回の問題は、サッカー場が駐留軍用地の跡地で、ドラム缶は米軍が使用した可能性が高いことなどから、返還用地にかかる基地問題であり、解決に向けて、次の5点について国に誠意を持って迅速に対応することを強く求める。

  1. 1. サッカー場を含む周辺全エリアの遺棄物及び土壌等の調査を行うこと
  2. 2. 遺棄物の撤去や汚染土壌の除去等による原状回復を図ること
  3. 3. 当該事案における工事等に関する損失補償を行うこと
  4. 4. 調査分析結果を公表し、市民の納得のいく説明を行うこと
  5. 5. サッカー場の整備・確保について、方策を示すこと

土壌等調査報告書の閲覧について

 沖縄市サッカー場土壌等調査報告書は、市政情報センター(本庁2階)で閲覧できます。また、沖縄市の公式ホームページでもご確認頂けます。

土壌等調査報告書に関する問合せ先

沖縄市教育委員会 市民スポーツ課 TEL:932-1294

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沖縄市サッカー場の位置図

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ドラム缶の付着物を慎重に採取する様子

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工事中に地中より発見されたドラム缶

沖縄市サッカー場土壌等調査報告について

 去る6月13日に沖縄市サッカー場の整備工事の最中に、地中から米国の企業名が記された ドラム缶が見つかり、市民の皆さんをはじめ、多くの方々に大変なご心配をおかけし、申し訳なく思っています。

 当該用地は、駐留軍用地の跡地であることや遺棄物が米軍使用の蓋然性(がいぜんせい)が高いことから、そもそもの原因は米軍基地当時に起因するものと認識しており、その旨、国にも伝え対応を求めてまいりました。

 そのような経緯の中、去る7月2日には、沖縄防衛局の調査とは別に、サッカー場におけるドラム缶の付着物及び周辺土壌について、土壌汚染対策法に基づく調査とダイオキシン類、ポリ塩化ビフェニル(PCB)の調査分析のためのサンプルを採取し、昨日、委託先であります南西環境研究所より、報告を受けました。また、その調査分析の結果について、愛媛大学農学部より専門家としての評価を頂いたところです。
 報告の内容につきまして、ご説明したいと思います。
 なお、サッカー場周辺における水質調査につきましては、7月25日に沖縄県の方から、環境基準値以下との調査報告が公表されております。

 今回の調査報告につきまして、特に重要視されますことは、ドラム缶の付着物(水溶液を含む)からダイオキシン類が検出され、中には環境基準値を参考にすると8.4倍を示す値が出ていることです。

 なかでも、有害とされる「2,3,7,8-TeCDD」というダイオキシン類が検出され、しかも、「2,4,5-T」を含む枯葉剤及びその他の除草剤から由来した複合汚染であるとの説明に驚くと共に、極めて深刻に受け止めているところです。また、ドラム缶からPCB廃棄物特措法(とくそほう)に関する基準値を超えるPCBも検出されたとのことから、ことの重大さを認識するとともに、市民への被害が及ばないことを第一に、問題の解決に全力を尽くすことが最も大切だと考えます。
 今後、この報告を踏まえ、市民の安心、安全を確保し、納得のいく対応を迅速に図る必要があり、まず、当該事案に関する沖縄市の基本的な方針を示すとともに、具体的な対応策を確実に実施していくことが、行政の責務であると認識しております。

 私は、冒頭申し上げましたように、今回の問題は、返還軍用地にかかる基地問題として、基本的には国の責任は重大であり、その解決に国には、誠意を持って迅速に対応して頂くことを強く求めてまいります。

 具体的な対応策につきましては、これから国と詰めてまいりますが、まず、一点目は、サッカー場を含む周辺全エリアの遺棄物及び土壌等の調査を行うこと。

 二点目は、遺棄物の撤去や汚染土壌の除去等による原状回復を図ること。

 三点目は、当該事案における工事等に関する損失補償を行うこと。

 四点目は、調査分析結果を公表し、市民の納得のいく説明を行うこと。

 五点目は、サッカー場の整備・確保について、方策を示すことです。

 また、当該用地の返還前の履歴やドラム缶の遺棄された経緯等につきましては、国の責任において、明らかにしていただくことを求めてまいります。

 それから、今回の報告におきまして、なお詳細な調査分析が必要とのこともあり、今後、国や県と連携し、追加調査等も進めて行くことを検討していかなければならないと考えます。
北谷町へ搬出された土壌につきましては、北谷町長をはじめ町民の皆さまには多大なご心配をおかけしましたが、調査項目の全てにおいて基準値を大きく下回っているという結果をいただいており、そのことも加えてご報告させていただきます。

 ご承知のように、沖縄市サッカー場は、子供たちがサッカーを通して、競技を競い、友情を深め、成長を育む大切な場所であり、また、「スポーツコンベンションシティ」を進める本市において、市民がサッカーを楽しみ、まちづくりに活かしていく大変貴重な場所でもあります。

 今回、沖縄振興特別交付金を活用し、これまで以上に素晴らしい施設として生まれ変わることを多くの市民の皆さんが期待していた矢先に、このようなことが起きましたことは、誠に遺憾であり、残念でなりません。

 ただ、昨日の報告の中で、これまでサッカー場を利用して頂いた子供たちや多くの方々への健康面への影響はない、との専門家からのご説明を受け、ひとまず安心をしているところです。

 市民の皆さまの安心・安全を図るため、迅速な問題解決に全力で取り組んでまいりますので、ご理解を賜りますようお願いを申し上げ、私からのご報告とさせていただきます。

平成25年7月31日
沖縄市長 東門 美津子

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多くの報道陣を前に会見を行う東門市長

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