更新日:2024年2月27日

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2014年度 沖縄市の自然

 リュウキュウベニイトトンボのヤゴ(幼虫)

リュウキュウベニイトトンボのヤゴと成虫前に博物館の水槽でリュウキュウベニイトトンボが羽化しているのを紹介しました。そのときは気が付かなかったのですが、最近、ヤゴが真っ赤になっているのをみつけました。赤いトンボはいろいろいるけど、ヤゴのときから真っ赤なのはベニイトトンボの仲間だけのようです。
普段ヤゴは茶色ですが、羽化の前には成虫の色が透けて真っ赤になるようです。博物館入り口の水槽ではリュウキュウベニイトトンボの羽化が真っ盛り。水がめなどちょっとした水辺でもすむことができるトンボなので、身の回りでも探してみてね。
ヤゴ:2014年4月25日撮影
成虫:2013年11月14日撮影

(2014年5月14日更新)

 ラデンキンカメムシ

ラデンキンカメムシの写真緑や赤にキラキラ輝く美しい虫、ラデンキンカメムシです。カメムシというと嫌われ者のイメージがあるかもしれませんが、この種類は他のカメムシにくらべてにおいを出すことが少なく、人気者になれるかもしれないですね。
ただこのラデンキンカメムシ、どうやら人の手によって外国からやってきて沖縄にすみついてしまった『外来種』のようです。沖縄市ではこれまで数か所の公園で、アカギという木にとまっているのが見つかっています。どうやって沖縄にやってきたのか、どのくらい分布が広がったのか、どんな生活をしているかなど、まだぜんぜんわかっていません。見つけたら、博物館に教えてね。

とね こういち/2014年7月23日撮影
(2014年7月28日更新)

 ヒメアマガエルのオタマジャクシ

ヒメアマガエルのオタマジャクシの写真“オタマジャクシ”というと「黒くて音符みたい」のを思い浮かべるかもしれません。しかし、ヒメアマガエルのオタマジャクシはレジ袋のように半透明です。よく見ると、カラダの中も透けて見えます。独特なオタマジャクシなので、すぐに分かります。沖縄市ではおもに春から夏に見られます。住宅地の水たまりにも生息していて、水面あたりを泳いでいます。見つけたら、水面に顔をそっと近づけてよく見てみよう!

佐野 正和/2013年5月14日 沖縄市内で撮影
(2014年10月16日更新)

 カンヒザクラの狂い咲き

カンヒザクラの写真11月9日、博物館のある文化センターの下に植えられたカンヒザクラの木に、花がついていました。普通、沖縄の桜の季節は1月から2月。まだ冬を迎える前なのに、どうして花が咲いたのでしょうか?
このような時期外れの開花を沖縄では”狂い咲き”といいます。このカンヒザクラの狂い咲きは、台風の多かった年に多いようです。そういえば、今年は大きな台風が多かったですね。原因としては葉が通常より早く落ちてしまって、花を咲かないようにしておくホルモンが足りていないとか、塩害や根が切れたダメージで木が急いで子孫を残そうとするなどいわれています。そういった要因に気候などいろいろな条件が重なって狂い咲いてしまうようです。

とね こういち/2014年11月10日 撮影
(2014年11月12日更新)

 コカマキリの卵のう

コカマキリの卵のうの写真先日、名前を調べようと捕まえたコカマキリの一種Statilia sp.をプラカップに入れて飼っていたら、底に敷いていたティッシュの裏に卵を産みました。コカマキリは野外では石の下などに卵のう(卵が入ったかたまり)を作ることが多く、なかなか卵のうを見る機会がありません。沖縄市でもっともよく見るのはハラビロカマキリの卵のうで、木の枝や幹、公園のトイレの壁なんかにもくっついています。ほかにもヒメカマキリや、体長1cm位の小さなヒナカマキリも沖縄市にすんでいますが、卵のうを見つけにくい種類で、探してみたいものです。
卵のうの中には種類によって数は異なりますが、多いもので数百個の卵が入っていて、数週間から数カ月でふ化します。ふ化してくる幼虫は最初薄皮に包まれており、“前幼虫”と呼ばれます。前幼虫には頭に突起があって、その突起を使って卵のうから出てくるようです。前幼虫は卵のうから出るとすぐに薄皮を脱いで、よく知るカマキリの形の幼虫になります。
カマキリの卵はメスの出す泡と一緒に産み付けられます。泡はすぐ固まり、卵は泡に包まれて、暑さ寒さや外敵から守られるようになっていますが、それでも食べられてしまうことはあります。よく野外でもカツオブシムシなどにかじられて穴の開いたハラビロカマキリの卵のうを見かけますし、中の卵に直接卵を産んで幼虫のエサにしてしまう寄生蜂(寄生するハチ)のなかまもいます。
そんなカマキリの卵のう、沖縄では人とのかかわりは聞いたことがありませんが、中国では精力増強の漢方薬として重宝され、日本でも錠剤になって売っているのを見たことがあります。

(2015年2月25日更新)

 ケセランパサラン

ソメモノカズラの種博物館の中で作業をしていると、ふわふわと白いモノが浮かんでいるのを見つけました。ぷかぷか浮かぶ、毛のふさふさした白い球は、謎の珍生物“ケセランパサラン”と呼ばれますよね。おしろいをあげるとふえるとか、見たら幸せになれるとか・・・
今回みつけたケセランパサランの正体は、標本にしている最中の“ソメモノカズラ”の種でした。実が乾燥して割れて、なかから綿毛のついた種子がとび出したのでした。
この種についたふわふわは、タンポポの綿毛のように、風にのって種を遠くまでばらまくのに役立ちます。植物にとって種の期間は、遠くまで動くことのできる唯一のチャンスです。今回のソメモノカズラのような風で運ばれる種は、“風散布種子”とよばれ、かなり遠くまで行けるというメリットがあります。しかしながら、どこへ行くかは風まかせなので、育てない環境へ行きつく種も多く、たくさんの種を作らなければなりません。また、小さく、軽くないとふわふわ運ばれることができないため、風散布の植物は栄養をあまり蓄えていない小さな種子をたくさん作ります。芽が出てから育つための栄養があまりないので、太陽の光があたる開けたところでよく育ち、切り開かれた原っぱや、火山噴火のあとなど、木のなくなったところから真っ先に生えてくる植物が多いです。
沖縄にはソメモノカズラのほかにも、トウワタやホウライカガミなど、ふわふわした種子を作る植物がおおいので、ケセランパサランをよく見かけるかもしれないですね。

(2015年3月16日更新)

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