特集平和 皆さんは「9月7日」が何の日か知っていますか?

 9月7日は沖縄にとってとても重要な日である。
 68年前の昭和20年、沖縄では第二次世界大戦において地上戦が繰り広げられ、多くの住民が犠牲となり、多くの尊い命が失われた。
 沖縄県では戦争の悲劇が再び起こることがないよう、恒久の平和を希求するとともに沖縄戦で犠牲となった御霊(みたま)を慰めるために、6月23日を「慰霊の日」と定めている。
 昭和20年6月23日に組織的な抵抗は終わったが、その後も戦闘は続き、8月6日には広島へ、8月9日には長崎へ原子爆弾が投下され、大勢の人が犠牲となった。同年、8月15日にようやく敗戦を宣言し、9月2日に東京湾のミズーリ号上にて連合国に対し降伏調印が行われた。
 沖縄においては、9月7日に現在の嘉手納空軍基地内(旧越来村森根)に3将軍が召還されアメリカ第13軍司令官スティルウェル大将に対し「南西諸島の全日本軍を代表して無条件降伏」を申し入れ、6通の降伏文書に署名し、この日をもって正式にアメリカ軍に降伏し、名実ともに沖縄戦が終わったのである。
 沖縄戦における一般住民の死者は公式統計では94,000人余、軍人の死者とほぼ同数となっているが、壕の追い出し、食糧強奪による餓死、スパイ容疑による虐殺、自決の強要、傷病死など沖縄戦の犠牲者は15万人を上回るといわれている。
 沖縄市では降伏調印が行われた9月7日を沖縄市民平和の日とし、二度と戦争を繰り返さず、後世へ平和を継承していく事を目的に平成5年に「沖縄市民平和の日を定める条例」及び「平和月間等に関する規則」を制定した。


 戦後68年が経過していく中で、沖縄戦の悲惨な体験や教訓を風化させることなく、後世に継承していく事が求められているが、戦争体験者の高齢化等により語部(かたりべ)の発掘や育成も年々難しくなっている。

 降伏調印が行われたこの沖縄市から、市民が戦争体験について学び、自らが平和について向き合う取り組みを進め、その取り組みを内外や後世に伝えていく必要がある事から、昨年は、平和事業の取り組みに関する市民意識調査を行った。この調査は、小学6年生と中学3年生、市内に通う高校3年生、市内小中学校と高校の教員、市内在住の18歳以上の市民、沖縄市職員、歴代の沖縄市平和大使全員を調査対象として、全配布数9,958件に対し、7,203件回収した(回収率72.3%)。調査の中で9月7日が「沖縄市民平和の日」であることを「知らなかった・分からない」と回答したのが75.9%で、正答したのはわずか10.5%だった。また、正答した方に沖縄市民平和の日を定めた理由を尋ねたところ、「沖縄戦終結の調印式が行われた日」と回答した方は9割弱にものぼった。しかしながら小中学生など子供世代においては3分の1程度しか正解がなく、慰霊の日と混同していると考えられる結果となった。また、調印式の場所については2割程度の正答であった。このような調査結果を受け、沖縄市では「沖縄市民平和の日」を市民へ周知するとともに、自らが平和とは何かということを考えてもらうため、平和に関する中長期的な計画策定に取り組む。

○沖縄市民平和の日を定める条例(抜粋)
(平成5年4月1日条例第18号)
(目的)
第一条 この条例は、国内で唯一地上戦が行われた第2次世界大戦の教訓とそれに続く施政権分離下の生活体験を踏まえ、すべてのものを壊滅する戦争を繰り返さないとする市民の総意に基づき、日本国憲法と「核兵器廃絶平和都市宣言」の理念の下に、すべての人が等しく平和で豊かな生活がおくれるまちづくりを進めるために、沖縄市民平和の日を定めることを目的とする。
(市民平和の日)
第二条 沖縄市民平和の日は、9月7日とする。
(記念行事等)
第三条 沖縄市は、沖縄市民平和の日に、記念行事を行う。
2 沖縄市は、平和の尊さを広めるため平和月間を設けることができる。

「沖縄市民平和の日を定める条例」制定20周年記念行事

 沖縄市では毎年9月7日に、沖縄市民平和の日記念行事を行っている。今年度は「沖縄市 民平和の日を定める条例」の制定から20周年の節目の年となることから、沖縄の未来を担 うこどもたちを中心に、自らが「平和について」考えることができるよう記念行事を実施する。
 今回の20周年記念行事は、現在・過去・未来をテーマに3部構成として次の内容を予定している。

  1. 1. 群馬大学の片田敏孝教授による「釜石の軌跡〜いのちを守る生き方〜」と題した講演
  2. 2. NPO法人SadakoLegacy佐々木雅弘理事長による「折鶴の少女」の朗読劇
  3. 3. 県内人気バンドのシベリアンスカンクによる音楽コンサート

平和に関する事業の紹介

沖縄市平和大使派遣事業

 沖縄市では激しい地上戦を経験した沖縄と、原子爆弾が投下された広島、長崎を「おきなわ発・平和トライアングル」として結び、沖縄市平和大使を広島、長崎へ交互に派遣している。
 平和大使事業は平成3年に親子平和大使としてスタートした。今年度は、5月21日に中学生大使16人、社会人大使3人の計19人が2013年度沖縄市平和大使として認定された。5月26日にスタートした事前研修を皮切りに8月8日から11日に予定している長崎派遣に向け、平和に関する研修や平和交流などを通して平和について学んでいる。平和大使は日本国憲法の理念のもと、戦争のない社会、一人ひとりの生命を限りなく大切にする人間尊重の社会を守り発展させるため、日常的に生活の中で平和を考え、平和社会を創りあげる活動を行うことを目的としている。

沖縄市平和月間賛同企画

 平和の尊さを広めるため、8月1日から9月7日までの平和月間中に沖縄市による「市民の眼 平和写真展」や市民団体による平和月間賛同企画「原爆と戦争展」や「石川・宮森630会移動写真展」などを市役所ロビーで開催するほか、あげだ児童館で「平和のつどい」、福祉文化プラザ児童センターで「平和学習会」、市立図書館で「平和について考える資料展」を開催する。

沖縄市の戦跡めぐり

 嘉手納空軍基地内に所在する沖縄戦降伏調印式の碑(9月7日米軍と南西諸島の日本軍守備軍との間で降伏調印式が行われた場所)や市指定文化財「奉安殿(ほうあんでん)」、「忠魂碑(ちゅうこんひ)」などの史跡をめぐり、沖縄戦がどのような経緯で展開したのかなど、市民が戦争の悲惨さや平和の大切さについて学ぶことによって、後世に平和を継承して行くことを目的に開催する。

市民平和講座

 すべての人が等しく平和で豊かな生活がおくれるまちづくりを進めるための、平和創造の第一歩として、歴史はもちろん、現在の世界の状況を知るために市民平和講座を開催する。

 20周年記念行事を始めとする平和事業に、ぜひ市民の皆様もご参加いただき、平和について考えるきっかけにしていただきたい。

沖縄市の平和事業に関する問合せ先

平和・男女共同課
代表939−1212
内線2217・2218

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