今月の人

逮捕術大会で一位に

233. 知念 かおりさん (25)

知念 かおりさん

 中之町交番で勤務している知念かおりさんが、六月に行われた県警の逮捕術大会女子の部で県内十四署代表の中から見事一位になった。

 普段は頼れるお巡りさんとして地域で起こった問題の解決や住民のさまざまな訴えに毎日耳を傾けている。

 今月は知念さんに警察官としての意気込みや今後の目標について聞いてみた。

 知念さんはもともと警察志望ではなかった。中学生のころから教員を目指し大学卒業前には教員採用試験の勉強も始めていた。そんな知念さんが警察官になったきっかけは、大学の卒業論文だったという。大学で地理を学んでいたため論文のテーマをマップ作りに絞り、当時海外で作成されていた窃盗や性犯罪の多発地域を表した「犯罪マップ」の沖縄市版を作ることに決め、沖縄署の生活安全課に足を運び情報収集をした。沖縄署に何度も通っているうちに、警察官の仕事ぶりをみて憧れを抱くようになり、協力してくれた警察官にも勧められ、一気に気持ちが傾いたとのこと。

 その後はすぐに警察官になるために動き出す。大学卒業後、まずは警察事務の臨時職員をしながら、採用試験に向けて勉強を始めた。周りの警察官も協力的で、彼女に柔道を教えてくれたとのこと。最初の試験は残念な結果であったが、次の年には見事に合格し、平成二十二年四月より晴れて警察官となった。

 一年間の警察学校での厳しい訓練や研修の後、今年四月より沖縄署管内の中之町交番に配属となる。

 今回、知念さんが優勝した逮捕術大会は、胴着を着てソフト警棒を使い、相手の膝など決まった個所を攻撃し先に二点先取した方が勝ちとなる競技である。多忙のためあまり練習はできなかったが、初めての出場で県内十四署中一位という見事な成績を収めた。今後九州大会への派遣も決まっている。

 知念さんに交番勤務について聞くと、とてもやりがいを感じていると答えてくれた。中の町という土地柄酔っ払い同士の喧嘩も多く仲裁に呼ばれることも少なくないが、徐々に臨機応変に対応することができるようになってきたとのこと。将来的には刑事になり、性犯罪などの、女性が被害者になる犯罪を少しでも減らせるよう尽力したいと考えているが、今は、真っ先に現場に駆け付け、住民と触れ合い解決する現場の仕事に生きがいを感じていると語ってくれた。また、いつでも犯人を追いかけダッシュできるよう体力もつけて準備していると笑顔で語ってくれた。

▼戦後文化シアター 今月のヒストリート

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新調した服を着て移民地へと向かう人々。1960年、那覇港
▲新調した服を着て移民地へと向かう人々。1960年、那覇港

 第5回世界のウチナーンチュ大会が今月一二日から一六日にかけて開催されます。本大会は、移民・移住者数が全国二位と多く「移民県」として知られる沖縄県ならではです。

 戦前の沖縄では戦後恐慌を起因とした砂糖の価格暴落による食糧不足と貧困などを理由に移民が増えました。沖縄市からも明治三七(一九〇四)年、メキシコへの移民を始めとし、昭和一六(一九四一)年までに約三三〇〇人がハワイやペルーなどの国々へ移民しています。また、戦争で焦土と化した沖縄、終戦後の帰郷による人口増加、五〇年代の本格的な基地建設に伴う土地の強制接収から、移民・移住を選択した人々がいました。本市からも約四〇〇人がブラジルやアルゼンチン等へ渡っています。戦前・戦後ともに、海外へ渡る人々は新調した服を着て旅立ったといいます。新たな気持ちで、夢や希望を胸にした門出だったのでしょう。しかし、移民・移住先では、慣れない土地での文化の違い、生活の困窮や過酷な労働など厳しいものでした。そのような困難を乗り越え、第二の故郷を築きました。

 ヒストリートUでは、企画展「沖縄市民が海を渡った」を今月いっぱい開催します。移民・移住先の写真やパスポート、各種証明書などの資料、体験談を通して、海を越え、異国の地で歩んできた方々の足跡を辿ってみませんか。