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◆ 広報おきなわ7月号(No.409)

今月の人

工芸の楽しみは生みの苦しみ

194.渡久地政幸さん(58)

 三月に第六回目の市工芸フェアが行われた。素人ながら年々、向上していく匠たちの技術の高さには目を見張るものがある。今月は市産業まつりなどにも常連工房であり、個展や県工芸公募展などで賞を受賞するなど幅広く活躍している「アランフェス工房」の渡久地さんに登場していただき、木工との出会いや、工芸にかける思いなどを聞いてみた。

 市文化センター裏手にあるアランフェス工房を訪ねた。
 二階がギャラリーで一階に工房がある。工房の両脇に木材が並び、作業場としてはわりと狭い感じがした。しかし、仕事が順調にはかどるように作業の工程を考えた無駄のない設計になっている。
 注文の商品作りに専念している渡久地さんに、手を休めてもらった。
 まずは、木工との出会いからたずねてみよう。
 「幼少の頃からモノを作って遊ぶのが好きでしたね。小刀で鳥かごや竹とんぼ、木の枝でゴムかんを作ったり、傑作はみかん箱に引出しを取り付けて机にする。ゲーム機など何もない時代ですからね」。
 それが、具体的になったのはいつ頃。「中学時代に義兄の爪弾くギターをいつも聞いていて、弾く事は勿論だが、楽器を作りたいとの思いがありましたね」。 それから、渡久地さんは本格的にギターを習い、昭和五十六年にギター喫茶「アランフェス」を開業する。その時の店内の改装やドアの立て付け、テーブル、
スピーカーなどを自分で手掛けた。すでに工芸の地へ歩み始めていたのである。
 それから十年後に、まごおじして喫茶店を工房へ改装した。
 現在、スタッフは四人、パソコンデスクや学習机、ダイニングテーブル等の注文をこなしながら、年一、二回の企画展(工房展)を開いている。
 今後については「木に関わって二十年近くになり、やっと木を自在にあやつれるようになった。体力、気力が続くかぎりやっていきたいですね」と言葉少なげに話したが、これからが楽しみ、瞳の奥がキラリと光った。 木工工芸の魅力については「思いっきり自己主張ができる。生みの苦しみの楽しさ」。商品については「末永く使えるもの、インテリアとしての調度品、独自のデザインを常に考えていきたい」とこだわる。ついでに、
「部屋に合わせた商品の注文オーダーも受けているのでよろしく」と微笑んだ。
 木に向かい木目を読む、木肌に触れ、木と対話をしながら素材の良さを引き出していく。熟練した技。その技術と綿密さが人をのどかにさせる作品になる。渡久地さんは今日も一本の木、自然の素材に生命を吹きかける。

戦後文化シアター 今月のヒストリート


ダッコちゃん

市史編集担当/
TEL:939-1212(内線2273)
ヒストリート、しーぶんかん/
TEL:929-2922
 いよいよ夏本番となりました。皆様には海水浴やピクニック等で楽しい日々をお過ごしのこととご拝察いたします。
 さて、ヒストリートの「子ども達のコーナー」では、とても愛嬌のあるダッコちゃん人形が皆様の来室をお待ちしています。
 ダッコちゃんは一九六○(昭和三五)年四月に東京都で初登場。ビニール製で色は黒、それに大きな目でウィンクするのが特徴です。八月頃からダッコちゃんは生産業者が追いつかないほどの売行きで同年末までに二四○万個が販売される大ヒット商品となり、デパートや店頭ではこの人形を求めて長蛇の列をつくるほどの人気でした。
 本土のブームに遅れること約二ヵ月後の九月二十九日にコザ市の店頭にもダッコちゃんが現れ、早くもブームを巻きおこしました。輸入業者はあわてたのですが嬉しい悲鳴ということでしょう。
 ダッコちゃんブームのとき小学生であった女性の方は「誕生日とか十三祝いのとき、友人や知人からのプレゼントは殆どダッコちゃんで嬉しいのとショックで複雑な気持ちでした。でも腕やランドセル等につけてマスコットとして大切にしました」と語ってくれました。
 ヒストリートでダッコちゃんと、にらめっこしてみませんか。
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