今月の人

出会いによって人は変わる

284/名嘉 知恵理(ちえり)さん(40)

 DV被害者への相談窓口や支援体制は、各自治体などで整備されているが、加害者更生に対しての相談窓口は少なく、その1つが、更生保護法人『がじゅまる沖縄』に設置されている。
 今回は、がじゅまる沖縄のDV加害者更生相談室研究員の名嘉知恵理さんに日々の取り組みについて聞いてみた。

名嘉 知恵理さん

 名嘉知恵理さんは、琉球大学へ進学し、臨床心理学を学んだ。卒業後、医療機関や市社会福祉協議会、中部福祉保健所に勤務し、平成16年には、沖縄県DV加害者対策事業の研究員に就任し、平成19年からは、沖縄県更生保護会(現がじゅまる沖縄)にDV加害者更生相談室が設置され、研究員として業務に携わっている。
 名嘉さんは、これまでに研究員として、DV(ドメスティックバイオレンス)問題に関する県民への意識調査や被害者、加害者、関係機関へのヒアリング調査、DV加害者への更生教育プログラムのテキスト作成、国内外のDV対策に関する調査研究に取り組んだ。現在は、沖縄県DV防止対策事業(旧加害者対策事業)として、DV加害者の更生相談業務を行いながら、各関係機関の職員や教職員などへの研修会、学生向けの予防啓発講座などの講師を務めている。講演内容は、主にDVや児童虐待、いじめ、性暴力などで、これまでに約9万人の方々が受講している。
 名嘉さんが従事している更生保護法人『がじゅまる沖縄』では、毎週水曜日の夕方から、主に配偶者や恋人からの暴力に関する相談を受けており、それ以外の相談も併せると、年間2千件以上の相談がある。また、沖縄県は加害者対策について、先進地であるため、県外からの相談もあるそうだ。
 名嘉さんが被害者支援から、加害者対策をするきっかけになったのは、過去に支援をしていた被害者の方々から「加害者が変わらないと何も変わらない」「加害者対策をする人がもっと増えれば、被害者のためになる」という意見があったからだ。実際に、名嘉さんが従事している業務は非常に深刻で、継続的な関わりを必要とする内容がほとんどだ。名嘉さんに仕事に対する原動力について質問をすると「加害者対策を行う仕事は大変だが、関わった人が、徐々に良い方向に変わっていくのが励みです。また、相談業務の合間、学校で講演を行い、生徒たちと向き合って話すことに、やりがいを感じています」との答えが返ってきた。
 名嘉さんは「暴力で、人が傷ついたり悲しんだりすることがない社会にしていくためにも、一人ひとりがDVや児童虐待、いじめなどに関心を持つことが大事です。また、学生時の友達や、最初に就職した職場の上司や同僚など、人生の様々な場面で、初めて出会う人が、人間関係の中で大きな影響を与える重要な人物なので、普段から人を想いやり、あなたに出会って良かったと想われる人になって欲しいです」と語っている。

戦後文化シアター 今月のヒストリート

 新年明けましておめでとうございます。何かと物入りなこの時期、お買い物の機会も増えますね。昨今では、スーパーや大型店舗で買い物する方が多いと思われますが、かつては商店街が主流でした。
 復帰前、旧コザ市域には胡屋商店街、コザ十字路商店街、諸見商店街がありました。これらの商店街には、地元はもとより美里・具志川・北中城など近隣市町村からも買い物客が訪れ、米兵向けのゲート通り、センター通りなどとあわせて中部地域の中心的な商業地として賑わっていました。
 商業地の景観も時代とともに変化していき、中でも一番街には1975(昭和50)年に県内初のアーケードが設置されました。さらにセンター通りは1985(昭和60)年、それまでの対面通行から片側一車線へと切り替わり、歩道を広げ白を基調とした買物公園としてリニューアルされました。名前も中央パークアベニューとなり、一時は那覇をもしのぐと言われる程の勢いがあったと言います。
 今年度はアーケード落成から40年、中央パークアベニューの整備から30年になります。節目の年に、沖縄市の商業の歴史とこれからについて考える機会としてはどうでしょうか。

1969(昭和44)年頃の対面通行のセンター通り
1969(昭和44)年頃の対面通行のセンター通り
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