今月の人

地産地消の農業経営を目指す

262 佐渡山 安廉(さどやま やすきよ) さん (35)

 今月紹介するのは、本市で畜産業を営む佐渡山安廉さん。佐渡山さんは肉用牛の飼育・販売をしているかたわら青年農業士として後輩の指導や育成のほか、農業委員として、地域農家からの相談役としても活躍している。今月は佐渡山さんに農業の楽しさや今後の抱負について話を聞いた。

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 佐渡山さんの家は、祖父、父と代々肉用牛の生産を行っており、こどもの頃から家業を継ぐものと思っていたが、20歳の時に福岡の農場に研修に行き畜産業に関する意識がガラリと変わったという。それは、500頭余りの牛を飼育している大規模農場での研修で、徹底したコスト管理や生産性の向上を意識して頑張ることで大きな成果が出ることを実感し、畜産業を一生の仕事として取組もうと決意した。
 まず手始めに家畜人工授精師の資格を取った。家畜人工授精師とは、家畜の人工授精を行うために必要な免許で、ほとんどの農家は外部へ委託する。良い牛の生産には血統の管理がとても重要で、生まれた子牛は3か月以内に登記を行うが、その登記証の中には、その子牛の父、母、祖父、祖母、曾祖父までもが記載されるほどである。どの血統の牛にどの血統を掛け合わせれば良い牛が生まれるのかを自身で考え挑戦し繁殖させている。
 また、佐渡山さんは青年農業士として後輩の育成にも力を入れている。青年農業士とはこまでの実績などを考慮し、地域の農業振興のリーダーとして農村地域活動を積極的に行っている農業者に対して知事が認定するもので、農業大学の学生を2か月ほど受け入れ、指導・育成を行った。また、本市の農業委員も務めており、地域の農家の良き相談役としても活動している。
 佐渡山さんは牛の飼育や繁殖をメインとして行っているだけではなく、県産和牛の良さを伝えるために自分のルーツとなった祖父の名前をつけた焼肉店で県産和牛を提供している。一般的に牛の生産は、まず繁殖させて子牛を8か月まで育てた後、肥育農家が大きく育て、その後、出荷される。佐渡山さんは現在、店で提供する肉をまかなうだけの肉用牛を肥育できていないため、いずれは自分の農場で全て行い、生産農家が加工・販売まで一貫して手掛ける六次産業のモデルを確立させたいと考えている。将来的には、市内の学校給食に肉を提供したり、牛の飼育で出た堆肥を利用し野菜を作ったりするなど地産地消が実践できればと願っている。
 佐渡山さんは、「農業はいろいろと厳しい面もあるが、自分のやりたいことを精いっぱい頑張ればきちんとした成果が目に見えるので毎日が楽しく充実している」と笑顔で語った。

戦後文化シアター 今月のヒストリート

 3月上旬より、企画展「新収蔵品展」の開催を予定しています。今回は平成24年2月から平成26年1月にかけて市民からいただいた資料を公開。その中からKレーション(レプリカ)を紹介します。
 Kレーションとは米軍の野戦用携行糧食の一種で、開発者のアンセル・キース博士の頭文字をとって「Kレーション」と呼ばれました。空挺部隊用の軽量の携行食として開発され、1942年より導入開始。弁当箱大の?引(ろうびき)の紙箱に牛肉やポークなどの缶詰、ビスケット、煙草、チューインガムなどが詰められたKレーションは、そのコンパクトさから全部隊に支給されるようになりました。しかし、この戦闘糧食は同じ内容の食事ばかりで、米兵の間に慢性的な味覚的欲求不満があったようです。
 沖縄においては、戦時中に米軍に投降した難民や捕虜にKレーションが与えられました。高原にあったインヌミ収容所では、引き揚げ直後の人にKレーションをあげると喜びましたが、長く滞在している人は食べ飽きて、誰も手を出さなかったそうです。

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Kレーションは蝋紙の箱に入り、朝食、昼食、夕食に分封されていた(左より)。

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