今月の人

「お話の世界」をこども達と一緒に楽しみたい

260 名嘉真 早苗(なかま さなえ)さん (55)

 今月は沖縄市立図書館ボランティア「ゆいゆい」の代表をしている名嘉真早苗さんを紹介する。名嘉真さんは、こども達の情緒の安定と創造力を育むことに効果があると注目されている「読み聞かせ」の活動を山内小・中学校で行っている。今月は名嘉真さんに日頃の活動やこども達への思いなどを聞いた。

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 名嘉真さんが沖縄市立図書館ボランティア「ゆいゆい」の活動に参加したのは、「ゆいゆい」が発足した平成13年頃。それまでも自身のこども達が在学していた山内小学校で「絵本の読み聞かせ」の活動をしており、図書館での「ゆいゆい」の活動を一緒にやってみないかと誘われたのがきっかけだ。「ゆいゆい」の主な活動は図書館で行う定例おはなし会やこどもの国でのイベントなどに参加し、絵本の読み聞かせや紙芝居、パネルシアターや人形劇などを披露するほか、要望があれば児童館や幼稚園などにも出向いてこども達に楽しい「お話の世界」を届けている。
 名嘉真さんは、山内小学校と中学校でも保護者達と一緒に「読み聞かせ」を行っている。「読み聞かせ」をすると小学生はもちろん中学生も集中して聞いてくれるという。名嘉真さんはこども達に本の楽しさを知ってもらうと同時に、周りの大人がちゃんと自分たちの事を気にかけ、見守っていることを感じてもらいたいと話す。「読み聞かせ」を聞いたこども達が学校の外で話しかけて来たり、読んであげた本をそのあと図書館で借りた話などを聞くと、とてもうれしいそうだ。
 こども達の情緒の安定に効果があると言われている「絵本の読み聞かせ」。その効果としては言語能力や学習能力の発達はもとより、心の成長や想像力が豊かになるなどが挙げられるが、やはり一番は親と子がスキンシップをすることによってこどもが愛されていることを実感し満たされるということではないだろうか。
 名嘉真さんは多くの親子にそんな「読み聞かせ」を知ってもらおうと、4か月と9か月の乳児健診の時に絵本をプレゼントする「ブックスタート」事業へも参加している。産まれてからまだ4か月の赤ちゃんでも絵本を読んであげると反応があり、その様子に親の方が驚くそうだ。ブックスタートで親に絵本や本に興味を持ってもらい、図書館にも足を運んで欲しいと考えている。
 名嘉真さんはこども達に、絵本や本の登場人物に共感したり、悪いことをしたら罰が当たるといった教訓を学び、人の気持ちがわかる大人になって欲しいと願っている。そして将来、そのこども達が「読み聞かせ」をして欲しいと話す。また今後は、高齢者や障がい 者の施設などでも「読み聞かせ」を行っていきたいと考えている。これからも多くの人に本の楽しさを伝えていく。

戦後文化シアター 今月のヒストリート

 2014年、新しい年の幕開けです。明けましておめでとうございます。今月は、来る4月で沖縄市制40周年を迎える本年の、最初の企画展「石川文洋(いしかわぶんよう)写真/沖縄からベトナムへ」を紹介いたします。
 本企画展は、在沖(ざいおき)米軍が1965(昭和40)年2月の北爆(ほくばく:北ベトナムへの爆撃)以降から実戦に加わった「ベトナム戦争」と、その当時の沖縄の様子を、報道カメラマン・石川文洋さんの写真を通してお伝えするものです。
 生々しい戦場写真の数々からは、現地住民だけでなく、侵攻した米軍人まで大きな犠牲をはらった、厳しく激しいベトナム戦争の様子がよく判ります。
 一方、「基地の島・沖縄」には、皮肉にもドルの雨が降りました。いわゆる「ベトナム景気」です。しかしそれは長続きせず、70年代に入ると、米国によるドル防衛策、日本復帰によるドル景気の低下と続き、ついに73年1月の「(ベトナム和平)パリ協定」においてベトナム戦争の停戦が決定し、米軍が同年3月に現地撤退したことで、「ベトナム景気」は終焉を迎えました。
 コザの街ではこの頃から「基地経済からの脱却」がしきりに叫ばれ、日本人観光客の誘致に力を入れ始めました。市民は、74年の沖縄市誕生を目前に控え、新たな光を、基地の外や街の中に見出したのです。
 本企画展では、ベトナム戦中における「基地の島・沖縄」の様子も、同時に紹介しています。
 沖縄市誕生の夜明け前です。

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写真:興奮と恐怖ビンディン省 1966年
【撮影/石川文洋 氏】

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