今月の人

花があふれる街になるように

239. 山口 喜美子さん(59)

山口 喜美子さん

 赤い花びらに白の絵の具で模様を描いたようなかわいい花を見たことがあるだろうか。沖縄生まれの日日草「ちゅらビンカ アスカ」である。今月は、その「ちゅらビンカ」をはじめ、四季折々の花を栽培・販売するかたわら、沖縄ろう学校の生徒や中学校の学習体験の受け入れ、老人会や自治会などに無料で農園見学会等を行っている山口喜美子さんに花への思いや今後の展望について話を聞いた。

 山口さんの経営する幸和農園は1年中四季折々の花が咲き、毎日が「花まつり」のようだ。毎年できるだけ新しい品種を取り入れ、年間で100種類以上の花を栽培している。その中でも品種登録している「ちゅらビンカ」は全国で販売され人気を博している。娘の名前をとって名付けた「ちゅらビンカ アスカ」は赤い花びらに白の絵の具で模様を描いたような花びらが特徴的で、初めて見た人はおもわず「かわいい」と声をあげてしまうであろう。同じく子供の名前をつけた紫色の「ジュン」うすピンク色の「サヤカ」が販売中で今年は新しく3品種のオリジナルの花を販売予定だ。

 山口さんは、沖縄県知事から指導農業士として認定されており、一昨年には、農業大学校の生徒を1か月間受け入れ、実践しながら農業のノウハウを指導した。また、県立沖縄ろう学校の生徒や中学校の職場体験として農園での作業を体験させるなど人材育成にも積極的に携わっている。体験したこども達はみな学校の授業よりも楽しいと話すそうだ。

 山口さんは、多くの人がきれいな花を見て感動し癒されてもらいたいと農園の無料見学を行っており、老人会などの団体から個人見学者まで、たくさんの人が訪れている。また、見学者が自宅でも花を楽しめるよう花の上手な育て方も伝授している。一人ひとりが花を育てもっともっと花があふれる街になっていって欲しいと願っている。その気持ちから、ボランティアで胡屋大通りの花壇の植栽も行い、殺風景な通りを花で明るくし通行人の心を和ませた。

 平成23年には幸和農園の近くで日本庭園の見学会を無料で受け入れている大城浩さんと幸和会本部を立ち上げ、沖縄の文化に触れてもらう取り組みとして琉舞の見学も行っている。見学者が大型の観光バスで来園し、農園・日本庭園・琉舞の見学と存分に1日満喫して帰っていくそうだ。山口さんも、大城さんもたくさんの人に喜んでもらいたいと思っている。団体の見学は予約が必要なので、興味のある方は問い合わせてからの来園を。
幸和農園 Tel 989-4246

▼戦後文化シアター 今月のヒストリート

市史編集担当/939-1212(内線2273)
ヒストリート、ヒストリートU/929-2922

コザ独立国大統領の帽子
▲コザ独立国大統領の帽子

 「コザ独立国」をご存じでしょうか。1990年「てるりん」こと照屋林助(1929年〜2005年)を大統領に、「コザが地球の真ん中だ」という思いで建国された「遊び国」です。

 林助さんは、その建国精神を「コザの歴史に由来するもの」を語りました。戦後、米軍基地と共に歩んできたコザの街は、否応なしに流入してくる異文化を排除するのではなく、理解・吸収し、さらに自分たちの琉球文化を基層におく独自の文化へと変化させてきました。そのフロンティア精神と常に新しいものを創造していく精神にあふれた文化国家を作ろうというものでした。

 林助さんは、「独立ごっこをしながら、人間や国家が『独り立つこと』を考え、世の中をどうすべきかという、しっかりした見方を養う有効な一策」とも言っています。遊び(笑い)の中で物事の本質を問いかける林助さんらしい発想です。彼が創った歌詞や脚本を読むと、クスッと笑いながらもジーンと胸に迫るものがあります。

 今年は、沖縄の施政権が米軍から日本に移譲されて40年を迎えます。

 私たちは『独り立つこと』ができているのでしょうか。

 てるりん資料を見ながら、面白おかしく、そして真剣に考えてみましょう。

 ♪皆様よ、丁度時間となりました
  ワタブーショーは今日やこれまで♪