特集防災

自分の身を守るためにできることは

まちを守る-防災のまちづくりへ-

岩手県久慈市に緊急援助隊として派遣された沖縄市消防職員
▲岩手県久慈市に緊急援助隊として派遣された沖縄市消防職員

 三月十一日に起きた東日本大震災は、私達に地震や津波の恐ろしさをまざまざと見せつけ、人間の力の小ささと自然の脅威を実感させました。また地震の被害だけではなく、東京電力福島第一原子力発電所の被災により、今でも周辺の住民は避難を余儀なくされ、日本全国で放射能汚染の心配もある状態が続いています。そんな中、自分達の身は自分達で守ろうと、防災への意識がどんどん高まってきています。沖縄市では市の防災担当が地域防災計画の見直しを早急に行う予定であり、また、自主的に地域で防災組織を結成する自治会や、独自の防災計画を作成する学校も出てきました。今特集では、それぞれの活動を紹介するとともに、災害に備えたまちづくりについて考えてみよう。

沖縄でも震度四の地震が

 奇しくも市の防災訓練を予定していた日の二日前に沖縄でも震度四の地震が起き、更に大きな地震が来るのではないか、津波が襲来するのではないかといった不安を沖縄市民誰もが感じたことであろう。いざとなったら何もできず慌てるだけしかできなかった人も多かったのではないだろうか。やはり、いざという時のために避難の方法や自分の身の守り方を普段から知っておくべきなのだ。沖縄市では三月十一日に起こった未曾有の東日本大震災後、市の防災担当は今までの防災計画を国の方針を踏まえ早急に見直す予定であり、自治会では自主防災組織の結成、学校では津波に対する避難のために独自で学校防災計画を策定するなど、様々な形で防災への意識が高まってきている。

市内全域で防災訓練を行う

 十一月十日、市内全域で地震対応訓練、東部地域で津波対応訓練が行われた。あいにくの前日の大雨の影響で規模が縮小されての実施であったが、市民の防災に対する意識向上を図ることを目的として実施された。

 午前十時頃、沖縄本島南西沖でマグニチュード8・0の地震が発生、本島の沖縄市では、十時一分に「緊急地震速報」がテレビ・ラジオで放送され、本市においては震度5弱の地震が観測され、気象台から大津波警報「予想津波6メートル」が発令されたと想定した訓練では、午前十時に防災行政無線放送で市内全域に訓練開始の放送を行い、その後「緊急地震速報」とサイレンを放送、それに伴い各学校の放送施設でも「緊急地震速報」を放送し訓練が開始。

 各自治会や機関・団体は独自で地震に備えた行動や措置方法を確認し、各家庭でも避難経路の確認やガスの元栓を閉める等対応手順の確認を行った。市役所では庁舎内に災害対策本部を設置し、対策の方針を決める訓練や、現場からの映像を受信、無線で連絡を取り合うなどの情報収集・伝達訓練が行われた。

避難後は口を閉じ静かにしています
▲避難後は口を閉じ静かにしています

列を乱さず速やかに避難します
▲列を乱さず速やかに避難します

その時、学校では

 各小学校でも、十時の放送を皮切りに避難訓練を開始。美東小学校では全校生徒が訓練開始の放送後、担任の先生の指示により机の下に避難してまずは自分の身を守り、その後、先生の指示に従いながら、速やかに上の階への避難を行った。上の階に避難後も、安全が確認されるまで、みんな騒がす静かに待つよう指導され、子ども達はじっと安全が確認されるのを待った。その後全員体育館に移動し、沖縄気象台の職員と沖縄警察署の警察官による出前講座が行われた。出前講座では、まず気象台の職員による、スライドを使いながらの地震や津波の起こる仕組みのわかりやすい説明が行われた。その中でインドネシアのスマトラ島での津波の映像が流された時には、あまりの迫力に声を上げる生徒もおり、改めて地震、津波の恐ろしさを感じていた。

 沖縄警察署の警察官からは、今日の訓練をみんなが真剣に行ったことはとても良かったが、学校の訓練だけではなく家での訓練も大事であること、高い建物がどこにあるのかを把握して、外で遊んでいる時でもどこに逃げればいいかわかっておくことが大事であること、自分の家や学校の標高を知っておくこと、以上の三点に注意するよう話があり、生徒達は真剣な様子で耳を傾けていた。

まずは身を守るため机の下に隠れます
▲まずは身を守るため机の下に隠れます

泡瀬第二自治会が災害時要援護者の避難訓練を行いました
▲泡瀬第二自治会が災害時要援護者の避難訓練を行いました

その時、自治会では

 各自治会でも、それぞれ避難訓練を行った。その中で、泡瀬第二自治会では災害時に一人では避難することが困難な車イスや寝たきりの方などといった、災害時要援護者の避難訓練を行った。自治会員は災害時要援護者の避難を支援しつつ、津波の被害を免れるため大型ショッピングセンターの立体駐車場まで避難を行った。その後、自治会に戻り避難食配布訓練を行った。泡瀬第二自治会(平良光営自治会長)は、中城湾に近く、海抜〇メートルの地域もあるため、その危機感も強く、東部地域の自治会の中でもいち早く自主防災組織(構成員九人)を立ち上げた自治会である。震災の際には行政組織も壊滅する可能性もあるため自治組織による救助の必要性を十分に認識している。

 義母と息子と一緒に避難訓練に参加した上間伸子さんは、「以前、神戸に住んでおり阪神大震災を経験した。いざ地震の際には、最初のゆれでパニックになる。体に染み付くぐらいに訓練してなければ動けない。阪神大震災の揺れでは、物が落ちるのではなく飛んだ」と訓練の重要性を話した。

 いざ、大規模災害が発生すると、時に防災・行政機関にも被害を与え応援が望めないことも考えられる。今一度普段からの訓練の重要性の認識と防災への意識改革、地域住民との共同体制の構築が重要なのだ。

車いすの方の避難を手伝います
▲車いすの方の避難を手伝います

気象台の職員と警察官が来て地震と津波について話してくれました
▲気象台の職員と警察官が来て地震と津波について話してくれました