今月の人

赤十字の父アンリー・デュナンの思想を広めていきたい

206.島袋禮子さん(55)

島袋禮子さん

 市役所庁舎内で年に3回移動献血ルームが開かれる時に、お揃いのピンクのジャケットでチラシを配りながら、献血への協力呼びかけを行う女性たちをみかけたことはないだろうか。彼女らは沖縄市赤十字奉仕団のメンバー。赤十字の父・アンリー・デュナンの思想を広めるべく様々なボランティア活動に取り組んでいる。今月は、昨年同奉仕団委員長に就任した島袋禮子さんを紹介する

 赤十字の父・アンリー・デュナンは人道、博愛の精神のもとにその生涯を社会奉仕に捧げたと言われる。デュナンの精神を継承し、赤十字の使命とする人道的諸活動を実践する人々が集まった団体が赤十字奉仕団。市に奉仕団が誕生したのは昭和四十八年のこと。「福祉の母」と呼ばれる故・島マス先生が創設した三十六年の歴史を誇る団体だ。
 島袋さんは元々長野県の出身。本土でご主人と知り合い結婚した後、ご主人の実家がある沖縄へ移り住んだ。その当時同居していた義母(故人)が長年赤十字奉仕団で活動しており、義母の手伝いをするうちに団の活動に興味を持ち、平成四年に正式に入団したという。「活動して思うのは、とにかく人々の善意があたたかく感じられること。社資募金のお願いで各家庭を回った時に、『少しだけですけど』と快く寄付してくれたり、私達の呼びかけに応じて献血してくれたり。活動を通して人々の善意に出会い触れあう時に、この活動をすることの喜びを感じます」と話す。団員になって十七年目の昨年四月、島袋さんは市赤十字奉仕団の委員長に就任した。これからの時代は情報を共有化していくことが大切だと、定期的に機関誌を発行したり、会員間の情報交換の場にとブログを作成するなど、新しい試みにも挑戦している。「この活動を続けられたのも義母の立派な後姿を見てきたから。それと家族の理解があってこそのこと。」と支えてくれる家族への感謝を口にした。
 現在、市赤十字奉仕団には約九十人のメンバーがいる。主な活動として、社資(事業資金)募集活動(募金)、献血推進活動、社会奉仕活動、災害時の救護活動及び救護訓練への参加、赤十字思想の普及推進活動などがある。「私達の目標はデュナンの思想を普及していくこと。小さな活動の積み重ねだけど社会に役立っていると実感できる活動。たくさんの人に参加してほしい」と呼びかけている。
 同団では随時団員を募集している。

お問い合わせは日赤沖縄市地区沖縄市役所市民生活課まで。
TEL939-1212(内線2213)


▼戦後文化シアター 今月のヒストリート

サイン入り1ドル紙幣
ヒストリートの壁に貼られた
サイン入りの1ドル紙幣

市史編集担当/
TEL:939-1212(内線2273)
ヒストリート、しーぶんかん/
TEL:929-2922

 ヒストリートのカウンター内、壁に貼られたサイン入りの1ドル紙幣。これは10年ほど前まで、中央パークアベニューにあったクラブ「タイガー」で見つかったものです。来店した記念にと、客が残していったこのような紙幣は、米軍人たちで賑わうクラブやバーなどの飲食店でよく見られました。
 特に、ベトナム特需にわいた1960年代後半から1970年代前半に掛けては、そのようなドル札を壁一面に貼り付けたAサインバーが、市内にも少なからずありました。サインの主の中には、戦地へ赴く時が迫った米軍人もいたことは想像に難くありませんが、彼らが残した「足あと」には、非常に考えさせられるものがあります。
 単なる記念として深い意味無く残したもの、「また来るよ」という気持ちで店に贈ったもの、または「きっとベトナムから帰って来るんだ」と、一種のまじないのような意味を込めたものもあったでしょう。
 そのようなドル札の主のどのくらいが、無事に戦地から帰還したでしょうか。店の経営者と共に、二度と帰ってこない主を待つ紙幣もあったかも知れません。何も語りはしない「サイン入りの1ドル紙幣」は、時に悲しい背景を強く訴えかけてくる資料にもなります。

 

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