更新日:2022年3月1日

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エイサーの始まり

昔、大そうな金持ちの人がいた。『金は宝』といって、貧乏人がお金を借りにきても絶対に貸さないで貯えていた。
その人は、病気にかかり亡くなったが、後生にお金を持っていくことが出来なかったので、後生に行ってから「ああどうしよう、わたしのあんなにたくさんのお金は・・・」とお金のことを心配していた。

子供たちが、「私達のお父さんはお金の心配をしているということだが、これはどうしたらいいものだろうか」と有名な坊さんのところに教えを乞いに行った。
坊さんは、「あなたのお父さんは、生きているとき、お金はたくさんあってもケチで、貧乏者に物をあげたりお金を貸すこともしないで自分一人のものだといって貯えていたが、死んでしまうとお金を後生に持っていくことができないといって、それの心配をしているので、7月のお盆の13日、14日、15日の3日間のあいだ、あなたたちが、ご馳走を作り、お酒を準備して村中の青年を集めてもてなしなさい。そして青年たちに太鼓をボンボンさせて、あなたのお父さんが苦労している心をなぐさめてあげ、罪とかをはらしなさい」といわれた。

そのときからエイサーが始まったということであるが、坊さんは、「あなたのもうけたお金でこのように御馳走も作り、アシビをさせているので、あなたはお金の心配をしないでください」と3日間お祈りをした。そうしてお金の形を紙に打って打ち紙を作り、「イチミ(この世)のお金から出してお供えしてあります。打ち紙一枚は一万貫としてお使いになれますから」といって、7月15日に打ち紙を火にあぶった。

今でもスーコー(法事)に打ち紙を燃やすのはそういう理由からだそうです。

沖縄市文化財調査報告書第26集『むかしばなしⅠ』
2003年沖縄市教育委員会

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